<1980年が超現代の入り口>
ソフトバンク・孫正義氏は1980年に起業した。
1945年8月、敗戦した日本国家は破産した。社会・経済・政治、あらゆる戦線で根本的な変革が始まり現代の時代に移行したのである。日本は世界でも稀有な高度経済成長を果たした。その過程で世界に通用する国際企業が誕生したのである。業種的には松下電器産業(現在・パナソニック)にみられる電器製造業やトヨタやホンダのような自動車産業などが代表している。
戦後の経済復興という《現代》という時代が終わった。
そして1980年から《超現代》に突入した。筆者は《超現代》とは【IT技術のイノベーションが社会・経済の発展を牽引する時代】と定義つけたい。
この歴史的な記念する年に起業したソフトバンク・孫氏の強運には感服する。《超現代》に大躍進した代表する企業の実例としては孫氏以外にはファーストリテイリングの柳井正氏、楽天の三木谷浩史氏、H・I・S創業者の澤田秀雄氏などがあげられる。財界の中枢に影響を与えるまでになったのである。
<保有株評価で1兆円を超える金持ちになる>
米誌フォーブスが3月4日発表した2013年版の世界長者番付によると、10億ドル(約930億円=1ドル93円で換算)以上の資産を保有する大富豪は、日本では22人。日本国内では、「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングの柳井正会長兼社長(64)が4年連続のトップになった。柳井正氏の資産総額は133億ドル(約1兆2,300億円)で、唯一、1兆円を突破した。2位はソフトバンクの孫正義社長(55)の86億ドル(約8,000億円)、3位は楽天の三木谷浩史会長兼社長(48)の56億ドル(約5,200億円)だった。
《超現代》に突入して本格的な事業展開を始めた3社のオーナーたちが資産総額で上位3位を占めたのは時代の栄枯盛衰を物語っている。2年前、孫氏が東日本大震災に《100億円の義援金贈呈》の発表には度肝を抜かれたが、8,000億円の金持ちであれば100億円などたいした金ではない。しかし、100億円もカンパするなど前例のないことである。本当に桁違いの行動をする経営者には御目に適ったことはない。感嘆するばかりだ。
フォーブスの長者番付の物差しは、保有している株式の時価総額が基準。本人名義だけでなく、妻、子供、親族に資産管理会社の分を含めて資産総額を算出している。そのため、株価に大きく左右される。株価が高騰すれば上位に浮上する半面、下落すればランキングから外れる。そんな浮き沈みが激しいなかにあって、柳井氏は4連覇を達成した(金持ちの基準はこの持株の時価総額だけでしか想定するのは難しい)。
2012年版によると、資産は100億ドル(約8,000億円、1ドル=80円で換算)だった。それが2013年版では133億ドル(約1兆2,300億円)と1.3倍以上膨れた。円安に振れたため、日本円換算では1.5倍だ。自社株の株価が一昨年末から昨年末までに1.5倍以上に上昇したことが増加した理由だ。今年に入ってからアベノミクス効果で株価は急騰。ファーストリテイリングの3月8日の株価の終値は3万1,500円。柳井氏や妻、子供、資産管理会社のほかに信託銀行に信託している分も合わせると、資産総額は2兆円を突破する。柳井氏がこの勢いを保って我々の鏡になり続けることを願う。
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