南大隅町で高レベル放射性廃棄物処分場誘致問題は、2007年の「原子力発電環境整備機構」(ニューモ)の勉強会以降、表面化するたびに沈静化してきたが、水面下では動きが止まっていなかった。
【高レベル放射性廃棄物最終処分場誘致をめぐる動き】
2007年3月 「原子力発電環境整備機構」(ニューモ)の勉強会
2008年10月か11月 税所篤朗町長(当時)ら東電訪問
2009年4月 南大隅町長選挙。森田俊彦氏が2代目町長に当選。
2010年8月 モーターボートの所有権変更登録
2010年12月 高レベル放射性廃棄物最終処分場誘致に賛成する陳情が議会に提出される
2011年3月11日 東日本大震災と福島第一原発事故
2011年3月 陳情不採択
2012年8月 南大隅町が除染土などの処分場の有力候補地と民放が報道
(※関係者の証言などをもとに作成)
森田町長ら町の有力者と、オリエンタル商事の原幸一社長との交遊はつい最近まで続いていたと、関係者は取材に対して語った。海外旅行にまでいっしょに行く関係だったことが明らかになっている。証言によれば、「森田町長、県議、商工会長、漁協組合長、建設会社社長らで海南島に出かけた。去年も、ほぼ同じメンバーで大連に行った」という。
一方、町長らを東電の勝俣会長に引き合わせることができる原社長について、関係者でさえ、どんな人物かわからないという。町長らの同処分場候補地の海上視察にクルーザーを提供したり、町の有力者を原発視察旅行にタダで連れて行ったり、原子力関連のコネクションを持つことが、関係者の証言から浮かび上がる。指宿市に支店として豪華別荘があり、町の有力者を招いたり、東京のクラブで飲食接待したり、かなりのお金を動かしていることも間違いない。
原社長に取材を申し込んだが、現時点で一切、コメントがない。オリエンタル商事の本社に電話しても、従業員は会社の業務内容さえ回答しなかった。オリエンタル商事は、本社が東京都千代田区。東京商工リサーチの企業情報によると、事業内容は船舶のリース業となっているが、その実態が皆目つかめない。
これまで関係者の証言をみてきた。森田町長に収賄の疑いが生じているのは誰の目にも明らかだ。森田町長は取材に対し、疑惑を否定することができなかった。
証言によれば、「核のゴミ」最終処分場誘致の問題が起きた早い段階から、南大隅町の森田俊彦町長が誘致に関わってきたことになる。東電を訪問して誘致を約束する一方、オリエンタル商事の原幸一社長から飲食接待を受けていた。モーターボートを譲渡されていることもわかった。
過疎地に原発を押し付け、そこに巨額の原子力マネーが動き、おこぼれをもらおうと、反社会集団まで群がってきたことは、原発事故後、多くの国民が知ることになった。高レベル放射性廃棄物最終処分となると、候補地になるだけで、文献調査の段階で年間10億円の「電源立地地域対策交付金」が自治体に転がり込んでくる(概要調査段階になると年間20億円)。
今回明らかになった事実は、全体の一端に過ぎない。
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