再生エネルギー全量買取制度の後押しや消費者の環境意識の高まりを受け、需要が急上昇している太陽光発電。異業種からの参入などもあり、続々と販社が増えているため、受注した工事を捌ききれない企業も多く見られる。そんな現状を横目に、施工に特化して地場で着々と力をつけている(株)デンショウの代表取締役の村上研作氏に話を聞いた。
<手を取り合って地域活性化を願う>
工事業者から販社というかたちを選んだ同社だが、同業社の反応はどうだろうか。今まで工事を請け負っていた販社とバッティングするのではないのか――。その疑問に対し、村上社長は笑顔でこう応えた。
「この地域は太陽光発電ビジネスの激戦区でもありますので、バッティングすることはもちろんあります。その場合は、話し合って、譲ったり譲られたりと持ちつ持たれつの関係性を保っています。バッティングから生まれるつながりや絆もありますので、そういったものを大事にしながら仕事をしていきたいと考えています。また、弊社の方でつくった営業部ですが、『太陽光を売ろう』という気持ちはあまりありません。太陽光発電ビジネスを含めた、屋根、塗装、リフォーム工事に特化したいという思いがあります。ですので、地域一体となってより良い工事を手がけていきたいと考えております」。
<時流に対応できるビジネスモデル>
太陽光バブル期とも言える現在、組合発足が重要と捉える村上社長。これには、同じ志を持つ業者との潤滑な連携や業務提携などの意図もあるが、良質な工事で安心できる住まいを提供したいという思いも汲み取れる。
「この業界は、広いようで実はすごく狭いんです。だからこそ、業者同士で組合を発足することが大切になってきます。今ある需要に追いつくためにはどのような依頼が来ても対応できるシステムづくりを団結して行なっていくことが最優先事項だと思っています。いろいろと問題点は山積みですが、そうすることで需要に追いつけず、十分な知識と経験を持ち合わせていない業者が行なう粗悪な工事を防ぐことにもつながると思います」(村上社長)。
だが、需要に追いつかないという現状がいつまでも続くとは思えない。市場が急速に拡大すれば、必ず収束する。太陽光発電ビジネスだけに特化するということはその分、リスクが高い。しかし、同社のようなビジネスモデルであれば、現段階からさまざまな工事の経験を経て新たなビジネスを創出することができる。
村上社長は「太陽光発電のスタイルも今後、多種多様な省エネ商品によって変わっていくと考えております。蓄電池や風力発電も、そのうちもっと身近なものになるでしょう。我々の使命は良質な工事を手がけていくことですので、そういった新たな商品が世に広まることで、職人育成の場も創出できるはずです」と語った。
対応力・応用力が必要なこの時代、さまざまな需要に対応できる同社の柔軟な姿勢・社風には新たな可能性すら感じさせてくれる。
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<COMPANY INFORMATION>
■(株)デンショウ
所在地:福岡県太宰府市国分1-19-34
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FAX:092-408-9682
URL:http://www.denshou-co-ltd.jp/
<プロフィール>
村上 研作(むらかみ けんさく)
1972年12月生まれ、福岡県出身。(株)ベストサービスにて、電気工事等の基礎知識や経験を積み、09年に(株)デンショウを設立し、代表取締役を務める。より良い工事で、安心して暮らせるまちづくりを目指している。
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