浙江省の高速道路で3月11日、大型トラックが横転する事故が発生した。この事故で、運転手は大けがを負ったそうだが、事故の情報を聞きつけた住民は、運転手の救助をするどころか、トラックに積んであった鮮魚を略奪しはじめたという。これについて、地元メディアは事故よりも住民のモラルのなさについて大きく報じている。
事故があったのは3月11日午前4時50分頃。浙江省江西の高速道路を走行中の大型トラックがスリップして横転してしまった。トラックの積荷は大量の鮮魚で、横転した拍子に、大量の魚が路上に散らばってしまったという。この事故で、トラックの運転手は大ケガを負い、その場から動けなかったというが、情報を聞きつけた近隣の住民たちが、運転手を救助するどころか、路上に散らばった魚を大きな袋に入れて、次々と持ち去るという略奪行為を始めたという。
しばらくして、高速道路職員や公安職員らによって、略奪住民は追い払われ、運転手は救助された。大型トラックの運転手は病院で無事に手当てを受けたという。
この行為に対し、地元メディアは住民のモラルの低さを大きく報じている。この報道に対し、インターネット上では、「中国人の恥」「ほかの国に笑われる」などと、いっせいに非難の声をあげている。
中国では時折、この類のニュースを耳にする。中国では交通事故があっても、見て見ぬふりをするのが当たり前だ。おととし、小さな子がひき逃げされたあと、20人近くの人が何事もなかったように傍らを通り過ぎた様子が世界中で報道され、中国に大きな批判の目が集まった。中国は交通死亡事故の数が10年以上連続で世界一多い国とされている。これは単に人口が多いからという理由だけでは片付けられないのではないか。一昨年の事故も、今回の事故も決して裕福な地域ではないところで起こったものだ。自分たちの生活のことで精一杯な人が多く、他人を気遣う余裕などはないのかもしれない。
こういう事故からも、都市部と地方との経済格差が生み出した中国の闇の部分が垣間見えるのである。
※記事へのご意見はこちら