「筑豊ラーメン山小屋」で知られるワイエスフード(株)(福岡県田川郡)はタイ15店舗を中心にアジアで26店舗を展開している。今後4年間で100店舗を目標に店舗を加速させる。「世界中の人に山小屋ラーメンを知ってもらいたい」という代表取締役社長・緒方正憲氏に話を伺った。
――海外展開はパートナー選びが非常に重要だと指摘されましたが、経験談などあれば教えて下さい。
緒方 実は台湾にも出店した経験がありますが、現在は撤退しています。FCのどのオーナー様にも、山小屋ラーメンの味をそのまま再現してもらうことを条件にしているのですが、その味を守っていただけませんでした。
徐々に軌道に乗り出すと、収益を重視するあまり、食材のコストを抑えるため、タレを変えてしまったりすることがあります。それでは、日本の山小屋ラーメンとは別の物になってしまいます。店舗には「山小屋」の看板を出していますから、現地在住の日本人など、その味を楽しみにされているお客様にとってみれば、裏切ってしまうことになりかねません。
ですからまず第一に、味を守ってくれる人でなければなりません。そういった意味では、何かしらの飲食店を経営された経験をお持ちの方が、店舗展開がスムーズに行きやすいように思います。
――信頼を築くために工夫していることはありますか。
緒方 コミュニケーションを大事にしています。やはりトップの私自身が現地に行くことです。私が行くことで、相手に当社としての誠意を見せることができ、こちらの本気も伝わり、喜んでいただけます。私のことをオーナー様が気に入ってくださった店舗には、メニューに私の顔写真が張って敬意を表してくれているところもあります。
時には日本の本社宛に、海外からラーメンを食べたお客様からのご意見がメールで届くことがあります。「以前日本で食べた味と違う」ということであれば、私や社員が現地に確認に行きます。私も現場を長くしておりましたから、自分の目で確認したいのです。何かおかしいときは、その場で私も教えた後に、その分野のエキスパートを1週間程度派遣させることもあります。
――密接な人間関係を形成することが大事なんですね。
緒方 それに尽きると思います。出店する立地も重要な要素ですから予定地を視察しに行きます。いいオーナー様はいい出店場所を見つけてきます。また、その過程で、オーナー様の人柄もわかりますし、今までどういうビジネスを手掛けてきたかも見えてきます。儲けのことばかり考える人はなかなか上手くいきません。現地に行って一緒に行動すれば人柄も見えてきます。
――海外進出を検討する企業に一言お願いします。
緒方 業種にもよると思いますが、飲食は特にチャンスだと思います。ですが、それにはまず、日本で店舗展開やある程度の実績を出し、しっかりとした土台作りが不可欠だと私は思います。そして現地で、良いパートナーと組むことが出来ればチャンスは沢山あると思います。
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