<現実を忘却するな!!>
東日本大震災と、東京電力・福島第1原発事故から2年が経ちました。復興庁によると、2月15日現在、避難者はいまだに31万5,196人です。原発事故の放射能汚染による避難指示区域等からの避難者は、2月20日現在、10万9,000人。帰還するめどもたっていません。自主避難されている方々も大勢います。避難指示区域以外の地域から福島県外への避難者は約5.7万人、しかもその大半は「母子避難」と言われています。放射能の被害への不安が大きいのです。関東の広範囲に「ホットスポット」があり、福島県外でも自主避難している多くの方々がいらっしゃいます。
放射線量が高い福島県11市町村については、国が直轄で除染をすすめていますが、7市町村では除染は始まってもいません。年間1ミリシーベルト以上は、国の負担で地方自治体が除染していますが、その対象範囲は東北、関東の8県101市町村にのぼり、住宅の除染さえ対象の1割さえ作業が終わっていないと報じられています。
放射能災害の壊滅的な打撃、原子力発電といってウラン燃料を核分裂させて作り出した放射性物質の恐ろしさをあらためて思い起こしています。
復興全体が遅れていますが、福島第1原発のあった福島県の復興がとくに遅れています。
わが九州でも、いつ収束するかわからない自然災害を経験しています。雲仙・普賢岳の噴火災害です。東北の被災地も今、同じ想いではないでしょうか。旧深江町(南島原市)では火砕流で大野木場小学校の校舎が焼け、仮設校舎での小学校生活を余儀なくされました。当時、同校の校長であった荒木正利氏は「校舎に仮設はあっても、教育に仮設はない」と語っていました。実に名言です。
さて、この国のリーダーは「政治に仮設はない」という覚悟で復興に取り組んでおられるのでしょうか!
<日本人の結束こそが大事>
野田前首相が宣言した「収束」という縛りは事実上消えつつあるようで、政府や官僚サイドからも原発事故は収束していないという発言が聞こえるようになってきました。収束していないのは現地を見れば当然のことです。
弊社では、3・11から2年を迎えるにあたって3名の記者を被災地に派遣し、現地レポートを発信しました。その情報に接した国民が、「この国をなんとかしたい!」との気持ちを抱き、賢い市民、自立した市民になれば、情報発信に取り組んでいる私たちの本望です。
ところで、これだけ大きな被害であっても、2年も経つと忘れられてきているのが実情です。
天災は忘れた頃にやってくる。
実際には天災はまだやってきていませんから「第2のフクシマ」もまだ起きていません。幸いなことです。ところが、忘れかけていたところに、南海トラフ巨大地震について政府による被害予測が発表されました。脳天を叩かれたような被害です。経済的被害は220兆円! 避難最大950万人! 電話9割が不通、停電2,710万戸...。東日本大震災のざっと10倍、20倍、30倍の被害です。インフラ・ライフラインも機能麻痺状態。静岡、愛知、三重、高知、宮崎の被害はとくに大きいと予測されています。減災対策の財源すらめどが立たず、実際に発生したら日本の国家財政が破綻してもおかしくありません。
しかも、日本原電・東海第2(茨城県)、中部電力・浜岡(静岡県)、四国電力・伊方(愛媛県)の3原発があるのですよ。山口県では、中国電力が上関原発の建設を計画中。それなのに、原発事故は被害に想定されていません。この期におよんで「地震発生と同時に運転停止する」とはなんたる話でしょうか。
「全電源喪失したら炉心溶解を起こす!」「どんな場合でも冷却し続けないといけない!」「核燃料・使用済み核燃料が冷却できなくなったら重大事故になる!」。福島の原発事故が教えてくれたことです。道路・送電・水道などインフラがずたずたになって、なお原発は持ちこたえるというのですか。
3・11から2年。犠牲になった人たちへの遺族のメッセージに接しながら、想いを新たにしています。国民が自立した市民になるために、役立つ情報を発信し続けることに、私たちの、データ・マックスの使命があると考えています。
2013年3月
株式会社 データ・マックス
代表取締役社長 児玉 直
※記事へのご意見はこちら