<台湾代表も指名献花>
東日本大震災の悲劇から2年目となる今月11日、国立劇場(東京都千代田区)で日本政府主催の追悼式典が開催された。民主党政権下で行なわれた昨年の式典では、各国最多となる約200億円の義援金を寄付した台湾を指名献花から外した上、企業や民間機関の関係者が座る一般席に案内したため、国内外からの批判を招いたことは記憶に新しいところだ。
今年の式典では、台湾代表も各国外交団や国際機関の代表が座る来賓席に着き、指名献花も行なった。台湾は日本と国境を接する周辺諸国のなかで、もっとも親日的な国であり、今回の日本政府の対応は、日台関係の友好にもプラスに働くに違いない。
<「親日」を示すアンケート結果>
台湾には、戦前の日本統治時代に日本式の教育を受けた「日本語世代」を含め、親日的な台湾人が少なくないが、次のアンケート結果が興味深いので紹介したい。データーは少し古いが、2006年7月に台湾の雑誌「遠見(グローバルヴユー)」が20歳以上の1,000人を対象にアンケート調査を行なった。
■旅行したい国
1位 日本(52.7パーセント)
2位 米国(28.2パーセント)
3位 中国(17.2パーセント)
■留学したい国
1位 米国(49.8パーセント)
2位 日本(31.3パーセント)
3位 英国(26.4パーセント)
■移住したい国
1位 日本(32.3パーセント)
2位 米国(29.7パーセント)
3位 カナダ(26.5パーセント)
■尊敬する国
1位 日本(47.5パーセント)
2位 米国(40.3パーセント)
3位 中国(15.8パーセント)
このアンケート結果は、台湾での偽らざる日本に対する親日度のバロメーターであり、台湾人が日本に対して好感と憧れを持っていることを示す証拠でもある。
<中国の反発はお門違い>
一方、台湾の指名献花に反発して、中国は今年の式典を欠席した上で、中国外務省は、「日本の対応に強烈な不満と抗議を表明する」として、「『2つの中国』を作り出そうとするいかなる国家のたくらみにも断固として反対する。日本が過ちを正すよう求める」とする談話を発表した。
中国と台湾、どちらが日本にとって大事な国なのか。答えは自ずと、この談話からも見えてくるのではないか。我々日本人は、日本の安全保障やシーレンを考える上で、重要な隣国が台湾だという認識を持つべきなのである。
中国への過度な配慮は、逆に中国を増長させるだけであり、中国に配慮しても、感謝されるどころか、逆に日本への攻勢を強めている中国との間には、絶対に信頼関係など生まれない。
<プロフィール>
濱口 和久 (はまぐち かずひさ)
昭和43年熊本県菊池市生まれ。防衛大学校材料物性工学科卒業。陸上自衛隊、舛添政治経済研究所、民主党本部幹事長室副部長、栃木市首席政策監などを経て、テイケイ株式会社常務取締役、国際地政学研究所研究員、日本政策研究センター研究員、日本文化チャンネル桜「防人の道 今日の自衛隊」キャスター、拓殖大学客員教授を務める。平成16年3月に竹島に本籍を移す。今年3月31日付でテイケイ株式会社を退職し、日本防災士機構認証研修機関の株式会社防災士研修センター常務取締役に就任した。『思城居(おもしろい)』(東京コラボ)、『祖国を誇りに思う心』(ハーベスト出版)などの著書のほかに、安全保障、領土・領海問題、日本の城郭についての論文多数。5月31日に新刊「だれが日本の領土を守るのか?」(たちばな出版、現在第4版)が発売された。 公式HPはコチラ。
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