福岡市議会が3月19日、紛糾した。
老朽化した少年文化会館の移転に関して、市子ども未来局の局長答弁をめぐって、空転したのだが、問題は、高島宗一郎市長のブログにあった。市当局が「精査した資料ではない」と議会委員会への提出を拒んだ資料の内容を、市長が自分のブログで公表したことにあった。根拠のない数字をブログでしゃべりまくった高島市長は、軽率軽薄、行政資料を私物化して、市政を"おもちゃ"にしているといわざるを得ない。
問題の資料の内容というのは、六本松の九州大学跡地に計画されている少年化学文化会館をめぐって、従来どおりの公設公営にする方法と、民間が建物を作って市が借り上げる方法でどちらが市の負担が安くなるかという数字である。直営だと約300億円、民有借り上げだと約260億円、借り上げた方が約40億円安くなるというようだが、市当局が答弁してきたように「精査した資料ではない」という、根拠のない数字だ。
その前段に、第2委員会での議論があった。
市当局は委員会での報告で「民有借り上げの方が安い」との考えを示したが、具体的な数字を示さなかった。そこで中山郁美議員(共産)が「そげな報告があるか」と言って、議事が止まった。「経費節減できる根拠を示さず、安上がりという結論だけ示すのはおかしい」と求めたので、委員長が各会派の意見を聞いて、6月議会で出してもらえばいいという意見が主流だったため、委員長判断で6月と言わずできるだけ早く資料を出すことで落ち着いた。
ここまでは、議員の多くは、高島市長のブログに気付いていなかったようである。
ところが、その後、条例予算特別委員会の総会質疑の準備で質問予定の議員が、資料請求したところ、市当局が3月15日にその資料を提出した。同時に、市長のブログに気付いたものだから、議会軽視、議会の冒涜と反発したのも無理はない。市長がべらべらブログでしゃべっておきながら、議会に出せないと言い続けてきたのである。
高島市長は、委員会の議論の前の3月9日にブログでこう書いていた。
「民間が作った建物に賃貸で入居するという方法があります。この手法を取ると、現在老朽化のために移転を計画している少年科学文化会館のケースでは、30年間で約40億円を節約することができます。」
ところが、局長が3月19日になっても答弁で「精査した資料ではないので答弁できない」と金額を明らかにしなかったものだから、議員は「これ以上質問できない」となった。質問したのは、星野美恵子議員(共産)である。
理事会協議になり、金額を答えろということになったが、当の市長は、行政改革をすすめるための例え話のような認識で、行政の内部文書を公言した軽率さにまったく反省がない。国や行政の機密文書を入手したジャーナリストが国民の知る権利に応えて報道したのとは、次元も立場もまったく違う。手にした「情報」と「権力」をまるで"おもちゃ"のように弄んでいる子どもの姿が、高島市長に重なってみえる。
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