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日銀の買入とアベノミクスの相乗効果でJリートは再び上昇基調(後)
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2013年3月23日 07:00

 リーマン・ショック直後は時価総額7兆円台だったが、翌年には2兆円台にまで縮小したJリート(不動産投資信託)市場。しかし今年、アベノミクス効果もあって時価総額は6兆円台まで回復し再び7兆円を見据えるなど、市況は好転の兆しを見せている。こうしたなか、新たに日銀総裁に就任した黒田東彦氏は、「物価上昇率2%を達成するためにはJリートを含めたさまざまな資産の購入についても十分議論すべき」と語るなど、さらなる資金流入が予測されている。今回、福岡市のJリート動向を1つの指標として、今後の市場の可能性について探っていきたい。

<大手企業の再進出、売りより買いが先行か>
b_11.jpg 今年3月、「リゾート再生請負人」として知られる星野リゾートが観光業に特化したリートで、200~300億円の資産規模で市場参入すると一部で報道された。もし実現すれば、リート市場の新たな可能性を切り拓く存在となっていくだろう。

 一方、2012年以降の福岡Jリート市場は、いくつか新たな動きを見せている。まず地場の福岡リート投資法人は、新たに「Aqualia警固」を28億円、「Aqualia千早」を12億8,000万円で、それぞれ12年3月に取得(いずれもマンション)。また今年に入り、2月に「天神西通りセンタービル」(オフィスビル)を26億円で、3月に「ディー・ウイングタワー」(マンション)を28億円で取得した。一時は物件を買い控えていた福岡リート投資法人が、12年以降は積極的に投資しているということは、それだけ不動産市場が上昇するトレンドに入った1つの表れと見ることができる。

 福岡県外の投資法人の動向として注目されるのが、森トラスト総合リート投資法人による「天神プライム」の取得だろう。12年7月12日に69億4,000万円で取得。かつて、地場デベロッパー最大手だったディックスクロキが企画・開発し、08年3月に竣工した物件だ。同投資法人としては初めて福岡の物件を取得したことになる。福岡リートが取得した天神西通りセンタービルにほど近く、主要テナントの三井住友銀行との間で長期の定期建物賃貸借契約を締結しており、安定収益を確保できると見込んでいる。

 07~08年の不動産ミニバブルの頃、西通りは最大で坪単価4,500万円という破格の土地代になったことがあった。その後はいったんテナントの空室が目立っていたが、12年にはH&Mやフォーエバー21など人気のファッションブランドが相次いで出店。オフィス需要も高まっていることから、再び投資市場として注目されているようだ。

 一方で、物件売却の動きもあった。たとえば、いちご不動産投資法人は「ソロンけやき通りビル」を、約2億円の損切りとなる5億9,000万円でアルバクリエイト㈱に売却。負ののれん発生益にともなう剰余金を戦略的に活用(今回は損失補てん)する目的があったとしているが、稼働率が53.5%と低い水準だったため採算が合わなかったとも見られる。

 今回は福岡市内に限定したポートフォリオについて見てきたが、積水ハウス・SI投資法人が「マスト博多」「プライムメゾン百道浜」を取得するなど、大手の再進出が12年からちらほら見られるようになってきた。今後は、地価や利回りの状況から見ても、福岡市のJ-REITは売りよりも買いが先行する市場となりそうだ。

(了)
【大根田 康介】

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