昨年12月の総選挙で山口1区から出馬し敗れた飯田哲也氏。選挙後、未来の党・代表代行の座を辞し、環境エネルギー政策研究所の所長に戻った飯田氏は、従来から主張してきた脱原発、そして自然エネルギーへの移行に関する政策提言を行っている。
国レベルでエネルギー政策への助言を行なうと同時に、地域レベルでは、地域のエネルギー革命を支援。地元・山口県では、4年後の県知事選を見据えて、エネルギー政策だけでなく、文化・芸術・歴史の面からも地域社会を盛り上げる活動を続ける。
自民党政権になり風向きは変わったが、自然エネルギーシフトへの意志を貫き通す飯田氏を取材した。
<国民の声はどこへ!?>
3・11の福島第一原発事故後、「原発ゼロ」を目指す声は、一時熱狂的な高ぶりを見せたが、昨年12月の衆院選後トーンダウン。各世論調査で80%程度あった脱原発賛成の声も、総選挙で自民党が圧勝したことで揺らいでいる。安倍政権に移り、原発再稼働が半ば国民に容認されたかのような動きさえ出る始末だ。しかし、福島第一原発は、事故後2年を経た今も収束しておらず、福島県に、故郷を追われたままの人が約16万人もいるのが現実だ。
環境エネルギー政策研究所の飯田哲也所長は、一貫して、原発ゼロからの自然エネルギーへの移行を訴え続ける。自民党政権では原発推進派が安倍首相の脇を固め、吹いているのは逆風。「風向きは根底から変わった。でも、安倍内閣は、まだ猫かぶりだと思っています。参院選までは、今のまま安全運転をしていくのではないか。その後に原発推進の動きを強めてくる」と飯田氏。たしかに、7月の参院選を見据え、自民党の原発推進の動きはまだ本格化していない。しかし、エネルギー政策に関わる経産省の「総合資源エネルギー調査会総合部会」の人事で飯田氏を含めた脱原発派の論客が外されるなど、国民の間にある脱原発希望の声を封じ込めようとする動きは随所に見られる。
<アベノミクスで株価が上がるのはいいけれど...>
安倍内閣になり、円高・デフレ脱却への明確な意向が示されたことで、円安になり、東京市場の株価も上がっている。円高に泣いた企業に好影響を及ぼし、経済全体も活気づいている。ここには一定の評価をすべきだろう。
しかし、エネルギー政策に関しては、20世紀型に逆戻りしつつある。自民党は「取り戻す」「日本復活」と謳ってはいるが、逆戻りすることが復活ではないはず。クリエイティブ産業を支援・育成する「クールジャパン・プロジェクト」にも力を入れているが、古い自民党が推進してきた原発を守ろうとする姿勢は、クールではなくクリエイティブでもない。
原発推進か、原発ゼロか、という議論ではなく、自然エネルギーという新たな軸の確立を前に進めることが大事なのではないだろうか。もし仮に、福島第一原発と同じような事故が再度起こった場合、日本は「経済復活」どころか致命的なダメージを受けるだろう。
将来の若い世代のために、持続可能でクリーンな自然エネルギーを残す枠組みを今のうちに作り、未来へつなぐことが必要なのではないか。
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