東京地裁は26日、競売にかけられていた在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)中央本部(東京都千代田区)の土地・建物の落札結果を公表した。最高価格は鹿児島市の宗教法人最福寺の45億1,900万円で、地裁が審査後、問題がなければ29日に買い手として決まる見込み。
最福寺は、鹿児島市平川町にある高野山真言宗の寺院で、山号は烏帽子山、本尊は不動明王。公式の寺伝では室町時代の創立とされるが、実質は1967年、現住職の池口恵観氏により設立された。清原和博、金本知憲、新井貴浩といったプロ野球選手らが護摩行をしたことでも有名だ。
池口氏の俗名は鮫島正純で、衆議院議員・馬場元治氏の秘書をしていた。当時、61年に起こった「三無事件」(旧日本軍の元将校らが無税・無失業・無戦争の三無を実現するため画策したクーデター未遂事件。破壊活動防止法の初適用で有罪判決)に関わっていたことでも知られる。その後、池口氏は59年に高野山大学文学部密教学科を卒業していたことから、宗教の世界で活動を本格化。鹿児島の東証一部上場企業である(株)新日本科学の永田良一社長が傾倒、メディポリス指宿にある宿泊施設「天珠の館」は密教色で統一されているなど、地元政財界での影響力は強い。
池口氏と北朝鮮との関係は深い。たびたび訪朝しているが、2010年11月には「金日成主席観世音菩薩像」の開眼法要を執り行ない、また2012年には北朝鮮の初代指導者・金日成氏の生誕100年祭にも出席している。
こうした背景から今回の落札に至ったものと思われるが、今後の朝鮮総連との関係を含めた展開が注目される。
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