<デフレ対策に最も期待、次に議員定数削減>
安倍政権下における政治課題について、最も「期待している」との回答が多かったのは、デフレ対策67.1%であった。以下、議員定数削減46.8%、領土問題40.5%と続いており、30%台後半には、国土強靭化39.2%、震災復興36.7%、雇用対策36.7%、円高是正35.4%、TPP交渉参加35.4%が並んだ(表3)。安倍政権が、それぞれの政治課題で一定の期待を受けている様子がうかがえる。
最も期待が大きいデフレ対策に関する自由意見は以下の通りであった。
「デフレ対策により経済が立ち直れば、国際的に地位の落ちた日本が再び見直される。防衛的な見地からも、経済の立て直しは有効な手段。中小企業にとって、デフレ経済のなかではビジネスモデルが成り立ちにくい。そこでインフレターゲットを設けてインフレ型の経済にすることで、中小企業の成長戦略のビジネスモデルが成り立つようになる。また、インフレ型経済により名目GDPがアップすることで税収が増え、財政再建の道も開ける」(会計士)。
「日本全体の問題が『デフレからの脱却』。円高は輸出にとってプラスで、輸入にとってマイナスだが、現在までの円はあまりに円高になっていた。常識的な範囲は95円~100円」(製造)。
「まずデフレ克服が重要。安倍首相が日銀総裁を変えたのが良い。まだデフレ克服の入口なのに、インフレ、ハイパーインフレ(物価が13,000倍になること)を心配して、安倍首相の足ばかり引っ張る。日本人の能力、エネルギーを削ぎすぎた。まず、デフレ克服をした後で、インフレの心配をすべきだ」(駐車場経営)。
自由意見では触れられなかったが、議員定数削減への期待が2番目に高いことは特筆すべき点である。最高裁が「違憲状態」とした2009年衆院選を「違憲状態」とした11年3月以来、是正は進んでおらず、昨年末の衆院選についてもすでに4高裁が「違憲」と判断した。「1票の格差」の是正のみならず、現在の480議席(小選挙区300、比例代表180)から大幅な削減を求める声もある。安倍政権に、今まで遅々として進まなかった議会改革の実行を期待する声は大きいようだ。
そのほか、政治課題に関する自由意見は以下の通り。
「ここ数年、子どものケンカのような国会運営ではなくて、是は是、非は非の『決めていく政治』で、国を本当の意味で良くしていただきたい」(建設)。
「都市計画法、建築士法を変えないと業界は良くならない」(設計)。
「円高是正は輸入関連(油・鉄など)には大変マイナスであるが、経済全般から見れば認めざるを得ない政策かもしれない。今後の景気動向を静観する」(建設)。
「建築業界にとっては公共工事で仕事が増えると思います。ただし、その場しのぎではなく、業界全体の体質を改善していくきっかけになれば...」(建材卸)。
4番目の質問で、安倍政権を「支持する」と答えたのは84.8%、「支持しない」5.1%、「わからない」10.1%という結果だった(表4)。支持の理由は、「経済再生の要として公共事業に積極的」(建設)、「政権を補佐する陣容が良い」(ビル)、「所得が増え、消費趣向が改善することを期待」(不動産賃貸)など。また、「支持しない」、「わからない」とした回答には、「日銀総裁が財務省の影響下に入り、独立性が保たれないのではないか」(製造)、「そもそもデフレは悪なのか?デフレの方が、庶民にとっては暮らしやすい。為政者が人の財布から金をとり、『さらに給与アップしろ』と口を出すのは言語道断だ」(製造)といった意見があった。
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