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自然エネルギーシフトへの決意貫く(3)~エネルギー革命家・飯田哲也氏
社会
2013年3月27日 07:00

<復興第一は国民へのポーズ?>
 24日に福島県の被災地を訪問した安倍首相は、原発の再稼働に関し、「安全を確保したうえにおいて、判断する」と述べている。
 電力システム改革の柱となる発送電分離や小売自由化に関しても、「送配電の分離を進めたい」「電力の自由化は必要」などと前向きなコメントはあるものの、その表現は明快ではなく、時期に関しても明確ではない。それだけでなく、発送電分離を具体的に進めるために必要な電気事業法改正案の国会提出を先送りにした。経済政策ほどのスピード感はなく、「安定供給が確保されてから」という言葉を言い訳にしている部分が見受けられる。

<発送電分離はやる気なし?!>
 2月、電力システム改革専門委員会は、発送電分離に前向きな報告書を出した。ただ、飯田氏は、前向きなのはポーズだけで、実際には発送電分離を進める気がないのではないかとの疑念を抱く。「一見、改革をしていこうとしているように見えますが、送配電部門の法的分離を18年~20年のメドとし、5~7年後に先送りした。この報告書に、自民党の電力システム改革に反対する若手議員たちは反発したが、甘利経済再生相は反発せずに認めた。原発のドンである甘利さんは、すでに裏側の落としどころを考えているのではないか」と、発送電分離を進めようというのはかたちだけとの見方を示した。

 報告書には、改革に向けての正論が並ぶが、一部引用すると、「電気事業者のこれまでの経験や技術のうえに改革が成り立つことを再認識し...」「電気事業者が、これまでの蓄積と現場力を活かし、これまで以上に使命感を持ち、改革の主役となって...」「今日まで形成してきた技術・インフラ・人材を破壊することは決してあってはならない」などと、"壊さない"ことを明記してある。もちろん、今あるものを活用しながらの改革ではあるだろうが、電気事業者を守ろうとする姿勢がちらほら見え、本気でイノベーションや新たな競争を起こそうという意欲には欠けている印象を受ける。

(つづく)
【岩下 昌弘】

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