中国人のある失独者の親の心境を綴ったブログがある。それによると、定期的に子どもが訪れては、一家団らんする世帯と同じ老人ホームに入居することは苦痛極まりない。寂しい者同士がそっと余生を過ごすことができるシェルターのような場所が必要だとしている。今回提出された議案では、このような失独者のための専門窓口や相談機関などの開設も盛り込まれているという。
中国では一人っ子政策後に生まれた子どもを「80後」や「90後」と呼ぶ。寵愛され甘やかされて育てられた、彼らの生育環境を例に出しては、メンタル面のネガティブな傾向が何かと話題になる。さらに、国際基準からはありえないほどのいびつな男女比も指摘されている。大人になった彼らに直面しているのは、配偶者不足と年老いた両親の介護の負担だ。
一人っ子世代は運良く結婚ができたとしても、若い夫婦2人にそれぞれの親4人の老後の面倒がつきまとう。ほとんどの一人っ子世代が、将来の両親の介護に関して、不安に思っているという。ある統計によると、自由な環境で育った嫁と古い風習が抜けきれない姑の関係について、都市部の世帯の約半数は「うまくいっておらず、お互い距離を置いている」と回答しているという。子どもが元気に生きていてくれたとしても、親としてはさらなる「課題」が待ち受けることになる。
何かと話題になる一人っ子世代だが、その親たちも様々な問題に直面してきている。国の将来を考えずに、国家主導で進められてきた一人っ子政策がもたらす「陰」の部分は、30年経った今、あらゆる世代を困難に陥れているようだ。
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