＜コストコ、今年５店出店＞
　コストコは22日北九州市八幡西区学研都市に開設した国内14号店の北九州倉庫店に続き、翌23日広島店、７月つくば店、８月千葉県印西、中部空港店と５店を出す。北九州店の敷地は約７万4,000m²で、店舗は１階建て、店舗面積１万400m²。約1,000台収容の駐車場を用意する。北九州都市圏のほか山口県からの集客も見込む。
　コストコは99年１月、久山市に日本進出１号店を出して以来、ほぼ年１店のペースで出店。店舗拡大に拍車をかけ始めたのは、既存店が好調で多店舗化のメドを付けたためと見られる。11年８月オープンした10号店の前橋店は開業時までに会員数が５万人を超え、開業時の会員数としては最高を記録した。知名度が浸透し、多店舗展開に向けての条件が整ったとの判断もありそうだ。

　コストコは12年９月期で11.5％増と上位10社中、アマゾンに次ぐ増収率を記録、クローガ―、ターゲット、ウォルグリーンを抜いて５位から一気に２位に浮上した。18店を出店したのと11年９月期に出した52店がフルに寄与したのが大きかった。営業利益は9.5％伸ばした。クレイグ・ジェネリクCEOは、決算について「世界の17万人超の従業員が機敏さと革新性を持って懸命に働いた結果だ」と述べている。

＜倉庫型DSのパイオニア＞
　ウォルマートとコストコは米国でもよく比較される。ウォルマートも「サムズクラブ」の店名で会員制倉庫型DSを展開しており、創業者のサム・ウォルトンはコストコに触手を伸ばしたこともある。コストコ創業者のシネガルはウォルトンを尊敬していたものの、買収は拒否した。

　コストコのビジネスモデルはユニークだ。安く売るため、粗利益率は低く抑える。値入率は仕入原価に平均15％上乗せするだけにとどめる。売価からだと13％の粗利益率になる。米国のスーパーは一般に原価に対し値入率25％、売価に対し粗利20％と言われる。前期の粗利益率はコストコが10.55％なのに対しウォルマートは24.38％もあり、日本のトライアルやルミエールよりはるかに高い。ウォルマートは、中国で調達したPBは値入率100％、つまり仕入原価と同額のマージンを取っているものもあると言われる。
　低粗利を補うのが会費。前期は20億7,500万ドルあり、経費がかかっていないとすると、営業利益27億5,900万ドルの75％を占める。つまり、商品売買での差益は赤字にならなければ良いという考え。顧客が会費分を取り戻すため何度も店に足を運び固定客になってくれれば、競争の激しい流通業界で大きな強みになる。

＜２強に絞られる＞
　営業利益率は2.84％でウォルマートに比べ見劣りする。
　コストコは低賃金がしばしば批判を浴びるウォルマートに比べ、従業員の待遇は良いというのが米国内での評価だ。データは数年前とやや古いが、米国の調査会社によるとコストコのフルタイマー、パートタイマーを含めた平均時給は17ドル92セントで、ウォルマートより７割も高かった。前述のニューズウィーク誌が取り上げたパートタイマー女性は勤続13年で時給12ドル40セント。数年前のコストコより５ドル以上も低い。

　日本法人の採用時のパートの時給は1,050円。最高でも750円と言われる福岡県のスーパーに比べ300円も高い。スキルの向上に従って時給が上昇する制度も取り入れている。
　両社とも自己資本比率は40％を超え、財務内容は良い。コストコの自己資本比率は46.12％でウォルマートを上回り、有利子負債は月商の0.17カ月しかない。返済の必要のない会費収入のためで、期末の現金は35億ドルと売上が4.7倍のウォルマートの77億8,100万ドルの半分近い。借入れに頼らず、手元資金で出店をまかなうことができると見られる。

　カルフールやテスコが撤退し、カテゴリーキラーを除くと残った流通大手はこの両社。一時、撤退をささやかれたウォルマートは、中四国が地盤のSM、（株）マルナカにM＆A（合併・買収）を前提とした提携を持ちかけるなど、規模拡大を目指している。コストコは北九州、つくば、広島、中部空港店では土地を購入し、関東、関西に自前の物流センターを建設するなど、腰を据えて日本市場に取り組もうとする姿勢がうかがえる。

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