ディナーの後は、ラウンジカーではバータイムが始まる。その前に、一度客室に戻ることにしよう。DXスイートなら、1号車のラウンジカーから7号車まで端から端まで歩くことになる。和と洋が融合した列車内を歩くだけで、優雅な気分に浮き立つことだろう。
――列車配置のプランは、1番デラックスな部屋が最後尾(進行方向によっては逆)、ラウンジカー、食堂車が1番前という配置になったのは?
古宮本部長 通常、最後尾が1番良いお部屋なんです。さえぎるものがなくパノラマで景色が眺められますから。いろいろな案が最初ありました。
<1番いい部屋を最後尾に配置>
もともとはど真ん中にレストランを置いて、前後両側に客室車両を配置する案や、両サイドをレストランにする案もあったという。
「食堂を最前車両に配置すると、1番良いお部屋のお客さまは食事のときに1番端から端まで歩かないといけない。それでいいのかと議論になりました。最終的にはやはり1番良いお部屋を最後部につくって、ラウンジもやっぱり景色が大切なので1号車にと、両サイドに配置しました。ちょっと歩いていただくことになるんですけど、オリエントは4、500メートルありますが、こちらは歩いて5、6両、100メートルだ、ここは1番良いスペースを両サイドに配置しようと、最後は割り切りました。ななつ星は、進行方向が途中で変わりますので、機関車が前か後ろのどちらかにつくので、機関車が見える状況になるかもしれないんですが」
星空を見ながら、客室で2人の時間を過ごすのもいい。木材をふんだんに使った客室は、特別なリラックスタイムを提供する。やがて、心地よい列車の振動に揺られながら、眠りにつくことだろう。
3泊4日コースでは、初日に由布院駅を午後11時30分頃出発し、宮崎駅方面へ向かう。2日目の夜明けを海岸線沿いで迎えることになる。左手に海が広がっている。
<部屋から通路側の車窓を眺めるウルトラC>
ななつ星の通路は、車両の右側と左側の交互に配置されている。
ここにも、議論があった。「九州を一周すると、客室からの眺めは海側がいいのか山側がいいのか。ところが、この線路に行くと、こっちがいいとか...。最終的には、通路は千鳥にしようと決まりました」(古宮洋二・クルーズトレイン本部長)。
車両は製造の真っ最中だが、客室と通路に工夫を施そうと、デザイナーの水戸岡鋭治氏と一緒に苦心している。
海岸沿いを走る線路で朝を迎えたのに、客室によっては、海は通路側に広がっている――。そこで古宮氏らは考えた。
「水戸岡先生と話しているのは、夫婦で来られて昼間や夜はみなさん身なりや化粧はきちんとされていますから、ちょっと部屋を出て通路側の景色を眺めることができますが、朝は起き掛けで化粧もされておらず、服も部屋着の状態では通路にはなかなか出られないが、どうしようか。そこで、部屋と通路の間を障子みたいにして、普通は閉じていて室内が外から見えないようにして開ければ部屋の中から通路をはさんで車窓の景色を見える工夫ができないかと考えています」。
3泊4日コースでは2日目の朝、車内で朝食を食べた後、南国風景を楽しみながら、朝9時には宮崎駅に到着する。その後、列車は再び内陸部へ入り、遠く、霧島連山を望む景色を眺めながら、都城を経て、隼人駅へ向かう。
▼関連リンク
・JR九州クルーズトレイン「ななつ星in九州」ホームページ
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