「北朝鮮には拉致被害者がいる。最福寺は北朝鮮と深い関係にある。政府が北朝鮮に対して国連決議違反に対する制裁を強めようとしている。以上の点から売却を許可すべきではない」―。
こうした意見もあるなか、29日、東京地裁は最福寺(鹿児島市)への朝鮮総連本部売却の許可を決定した。今後1週間、決定を不服とする執行抗告がなければ、最福寺の落札が確定する。同寺法主の池口恵観氏の話から、所有権移転後も総連の本部機能が維持される可能性は高いと目される。
地元・鹿児島で隠然たる権力を有する池口恵観氏に傾倒する政財界の信者は多い。なかでも池口氏とタッグを組んで、高野山大学で「スピリチュアルケアの教育振興」の一環として「永田良一寄附講座」を開いた新日本科学の永田良一氏は、その筆頭と言えるだろう。真言宗関係者者の1人は、次のように語る。「そもそも動物実験の件で批判されているような企業と一緒に高野山大学で講義を開くこと自体、迷惑だと感じている」。
その宗教法人高野山真言宗(総本山・金剛峯寺、和歌山県高野町)も混乱している。今年2月末、資金運用をめぐって約6億8,000万円の損失を出したとして、議会に相当する「宗会」が異例の解散をしたのは記憶に新しい。また1つ、新たな火種が生まれそうだ。
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