<地域の創造力を引き出す>
政治的には、脱原発への逆風が吹いているが、飯田氏は、自然エネルギー導入拡大に向けて東奔西走し、めまぐるしく東京―山口を往復している。
2月には、山口県宇部市で、「山口コミュニティ・パワー国際会議」を開催。地域自立型の自然エネルギー事業の推進と、実際に山口県民が出資する太陽光事業の立ち上げの支援などを始める。
首都圏では、地域電力の実現を目指す「地域エネルギーイニシアチブ」を元経産省の古賀茂明氏や伊藤宏一千葉商科大大学院教授らと立ち上げ、地域主導による自然エネルギーの拡大に布石を打っている。
<山口では新たな試みも>
地元・山口では、これまで研さんしてきたエネルギー政策、環境の分野とは、違った分野にも新たに踏み込み、山口県民とともに情熱を注いでいる。
創造的な地域社会を作っていくため、さまざまなアイディアを練る。地域活性化の一策として今年、観光庁が立ち上げたのは、酒蔵の蔵開き、新酒会などのイベントを地域で一体となって観光に結び付ける「酒蔵ツーリズム」。この酒蔵ツーリズムで、山口を盛り上げる活動をスタート。日本酒を観光資源として掘り起こし、海外への輸出拡大など地域活性化につなげる。
「山口にある文化、芸術、歴史、伝統を組み合わせて、相乗効果を生み出したい。今は、地元のみなさんと一緒に酒蔵巡りを盛り上げることを試みている」と、飯田氏は、地元での新たなチャレンジに乗り出している。
全国的にはまだ知名度は低いが、山口県には、萩、周南、山口、下関などに酒蔵がたくさんある隠れた酒どころ。たとえば、岩国市周東町、旭酒造の「獺祭」はカクテルにも使われるなど外国人にも人気が高い。
「『山口を日本のブルゴーニュにしよう』というのをキーコンセプトに、地元のみなさんとともにがんばっています。ワインで活気づくフランスのブルゴーニュは、自然豊かで落ち着きがあり、時間がゆったり流れる町。山口をそういう県にしたい」と、これまでの経歴を超越したところでも、地域と積極的に関わっていく。
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