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前代未聞!歯医者破たんで被害者の会結成~「シティデンタルクリニック」倒産のウラ側(1)
倒産を追う
2013年4月 1日 11:28

 治療途中や治療前の患者を多数抱えたまま倒産した医療法人樹啓会。福岡屈指のインプラント・審美歯科「シティデンタルクリニック」として知られていた。テレビや雑誌など、さまざまな媒体で宣伝していたこともあり、一度は理事長・矢野匡氏の顔を見たことがある人も多いだろう。突然の倒産で「被害者の会」が結成されるという歯科業界では前代未聞の事態になっているが、倒産の原因とインプラント業界の問題点について探ってみる。

 3月17日、「シティデンタルクリニック」を運営していた樹啓会の破産決定を受けて、患者らが福岡市内で「被害者の会」を結成した。医療法人である樹啓会および理事長である矢野匡氏に対して、インプラント手術代として前払いした治療費の返還を求めるほか、詐欺罪での刑事告訴や不法行為による損害賠償請求を検討するという。インプラント手術は保険適用外の自由診療で、費用は1本当たり数十万円。樹啓会は経営に行き詰り1月18日にいきなり閉院。負債総額は7億円を超え、200名を超える治療中の患者の前払金2億4,700万円、10年補償対象者への対応などが問題となっている。
 前金で数百万円収め、治療途中、治療前だった患者が多く、やむを得ず別の歯医者で治療を始めた人がいる一方、治療費が高額でもあり途方に暮れている人も多い。数百万円の治療費の二重払いは大きな負担だ。矢野理事長から「前金で一括支払いすれば値引きする」と勧誘された患者は「騙された!」との思いが強く、その怒りが「被害者の会」結成へと繋がっている。なぜ「シティデンタルクリニック」は、前金で資金を集めなければならないほど、資金繰りに窮するようになったのだろうか。
 
 樹啓会は1990年に福岡歯科大学を卒業した矢野匡氏が、修業期間を経て地元の熊本県阿蘇郡で開業していた「やの歯科医院」を広域医療法人化し、2000年4月に設立されたもの。03年4月に現在の福岡市博多区博多駅前に移転した。設立当初は順調に業績を伸ばし、ピーク時には福岡県内で4カ所の歯医者を経営するまでに拡大。ところが06年頃から経営状態が急速に悪化する。患者として訪れていた人物と意気投合し、同氏を理事に招き入れてから、おかしくなったのだという。矢野氏はもともと経理面に疎く、自分が医療行為に専念するため、理事に招き入れた人物を財務部長に据えた。これが間違いの始まりだった。

【特別取材班】

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