「着実に広域化に向けて前進している。前向きな話も出ており業界再編に向けて良い方向に向かっている」、「まだまだ、これからだ。後退はしていないが急進している訳でもない。色々多くの課題をクリアにしていかねばならない」という主旨のコメントが、複数の福岡地区内生コン関係者の取材で聞かれた。
NET-IBでは、福岡県生コン出荷量の今年の2月度と2012年度の累計を報じてきたが、福岡地区においては年間110万m3を超えており、120万m3の出荷は達成される見込みだ。月間平均10万m3の出荷、同地区工場40計算すると、1工場当たりの出荷量が2,500m3/月となる。低迷期であった2,000m3を割り込んでいた時期と比較すると、危機的状況は脱したと言ってもよい。価格に関しても、10,500円/m3前後での取引で行なわれており、安定状態である。福岡市の都心部・副都心の再開発における新築マンション建設の増大と、商業施設や医療関連施設の新規建設が増加傾向にあり、民間需要が活発であることが最大の要因である。安部政権の誕生によって民主党政権時は不遇であった業況から一転、光明が見えたことで「今後は、公共需要も増加するだろう。期待は高まる」という同地区の業界からの声が多数を占めた。それは、福岡地区の広域化という期待感も含まれてのことである。福岡地区及び飯塚地区が一体となり且つ現在組合に加入していない企業も全部加入しての広域化を目指しているのである。
この広域化によってもたらされる最大の恩恵は、価格の安定化である。福岡に限らずどこのエリアも協同組合員とアウトサイダーとの価格のダンピング合戦で、価格が崩壊し、工場経営が行き詰る懸念があったしかし、広域化が実現することで、福岡地区では13,000円/m3の販売価格が設定されるとのことである。もし広域化が実現し13,000円での販売が行なわれると、国内でも比較的高い水準の価格となる。「この価格で販売できれば工場経営が安定することは確かである」とは、地区内の生コン業界関係者の話。ただし、現在加入していない企業が全部加入して共販することが絶対条件であるという。様々な情報が錯綜する中、業界安定化に向けて関係者の大多数が進んでいることは確かなようである。
※記事へのご意見はこちら