2006年8月25日、福岡市東区の海ノ中道大橋で、当時、西部動物管理センター(現・家庭動物啓発センター)に勤めていた福岡市職員が飲酒運転で追突事故を起こした。追突された車は海に転落、この事故で子ども3人の尊い命が失われた。事故を起こした市職員は、現場から逃げた上に、水を飲むなどして飲酒の事実を隠ぺいしようとしていたことが分かっている。
その後、福岡県は、「飲酒運転事故全国ワースト」という汚名を返上するべく、官民一体で飲酒運転撲滅に取り組んでいる。とくに、大事故を起こした職員がいた福岡市は、全力で取り組んでいたはずだった。しかしながら、福岡市職員の飲酒に絡む事件は後を絶たなかった。今年3月29日、同市職員が「あわや大惨事」という飲酒運転事故を起こした。事故現場は06年8月の大事故と同じ東区内の港湾付近である。7年前に犠牲となった子どもたちも、さぞかし悲しい思いをしていることだろう。
新たに事故を起こした市職員は区役所の守衛であった。福岡市職員は、教職員を含めて約1万6,000人。高島宗一郎福岡市長は前年に相次いだ飲酒不祥事を受けて、1カ月間の「自宅外禁酒」を市職員に要請し、襟を正そうとした。それでも飲酒不祥事が起きるのはなぜなのか!
ほんの一部の職員の不祥事が、市職員全体の信頼を損なうことになる。もはや内部統制で防げないというのであれば、肥大化した組織をスリムにすることも対策の1つとして視野に入れるべきではないだろうか。他の自治体でも「小さな政府」を目指した民間委譲が進んでいる。高島市長には「根治治療」となる施策を望みたい。
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