日本の排他的経済水域内で大量のレアアースが発見されたという。日本国内の研究チームが海底の泥からレアアース埋蔵を確信したという。国内経済にも大きな期待が持てそうなニュースだ。ただ、これまでレアアースを経済の切り札に据えてきた中国にとって、このニュースは面白くないようだ。
アメリカのニュースメディア「The Telegraph」は4月1日、「日本はレアメタルで中国の独壇場を打ち砕く!」との見出しをつけて、このニュースを大きく報じている。レアアースは自動車や半導体、電化製品といったエレクトロニクス産業の発展には欠かせない素材だ。生産はほぼ中国が独占していて、中国はレアアースの輸出制限をするなど、外交の切り札にしていることもあり、欧米はWTOに不服申し立てをしている。それほど世界各国にとっては、希少価値の高いものだ。
記事では、これまで中国の独壇場だったものが、今回の日本の調査によって崩れるかもしれないとしている。アメリカはこれまでのレアアース外交で、中国から煮え湯を飲まされてきただけに、今回のニュースに大きな期待を寄せているようだ。
これに対し、中国メディアは、「今回の発見は理論学上の話で、実際に採掘できるかどうかはわからない」、「中国政府への圧力のための情報操作では」などと否定的な見解も多い。中国版ツイッター・微博では、「南鳥島は中国のものだ!」などと尖閣問題同様の書き込みもあり、中国のインターネットユーザーの間でも大きな話題となっているようだ。
日本のみならず世界の大手企業は、すでにレアアースに代わる素材を使った製品の開発に着手しているところも多く、中国のレアアース市場の価格下落は顕著である。今回の件で、日本がレアアース生産に力を入れることになれば、レアアースの分野でも「脱中国」が加速するのは想像に難くない。いずれにしても、日本の吉報は、隣国・中国にとっては面白くないニュースであることは間違いない。
※記事へのご意見はこちら