<中国の大気汚染が深刻化>
今年1月、北京市で、大気汚染がこれまでにない深刻な状況に陥り、視界不良により、航空便欠航、高速道路閉鎖などの事態が断続的に続いた。観光地でもある天安門広場から門に掲げられた毛沢東の肖像画がぼんやりとしか見えなくなるほどの濃いスモッグが出る日も多くなった。
北京にある米国大使館が11年から在中国の米国人たちに対し、警戒を呼び掛けたことで、中国におけるPM2.5の濃度が上昇していることが明らかにされ、12年1月から北京市が、詳細なデータを出すようになった。今年、その公表データが悪化。平均値が1立方メートルあたり200~300マイクログラムに達することもある。
成長第一で経済発展を遂げてきた中国。自動車保有台数が、ここ10年で大幅に増えたことによる排気ガスの急増に加え、工場の吐き出す煙、北京では暖房用に使われる石炭利用の多さなどが原因となっている。規制の緩いガソリンや、鉄道整備の遅れも要因になっている。中国政府は、環境政策に力を入れているものの、追い付いていないのが現状だ。
<情報は得やすくなった>
北京など大都市での大気汚染状況悪化を受け、今春、中国からの国境を越えたPM2.5の飛来が、特に地理的に近い九州北部、西日本で心配されはじめた。
だが、現在のところ、目に見えての悪化はない。環境省では、09年9月より基準値を設けているが、観測データを出しはじめた00年時点からすでに一時的に現在で言う基準値を超える日はあった。ここ数年で、環境省が出しているPM2.5濃度のデータに大きな変化はなく、昨年も今年もさほど"変わっていない"というのが実情だ。
心配してしすぎることはないとはいうが、怖がりすぎることもない。環境省の水・大気環境局の担当者は、「国として、1立方メートル当たり70マイクログラムという基準を定めた。知見などが明らかになっていないので、心配な人もいるかと思います。環境省のそらまめ君(大気汚染物質広域監視システム)などで、データを見ることができるようになっています」と、"今日はいつもより多く飛散している"という情報は格段に得やすくなった。環境省の「そらまめ君」や、各自治体が出しているホームページのデータなどで調べられるようになっている。
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