南アメリカの国エクアドルが自国の熱帯雨林300万ヘクタールを競売にかけ、中国の石油会社によって落札される可能性があるとイギリスのメディアが報じた。環境汚染が著しい中国の企業が買収先に立候補していることに対し、インターネットを中心に懸念の声が上がっている。
この問題は、イギリスのニュースメディア「the guardian」が先月下旬、エクアドルの政府が中国を訪問した際、中国系の石油会社に熱帯雨林の売却案を持ち出したと報じたことに端を発している。エクアドルは石油資源国だが、中国の資本で開発をしているのが現状。しかも、中国は、エクアドルのGDPの1割にあたる70億ドルもの貸付をおこなっているとされる。エクアドル政府が自国の発展を中国に委ねすぎた結果、今回のような事態になっているのだという。
300万ヘクタールという規模は、エクアドルが所有する森林の3分の1以上に上る規模だという。中国に自国の森林の4割近くを売却してまで、石油資源の開発を行なわなければいけないのが、南アメリカの貧困な国の現状のようだ。エクアドルには森林伐採という環境破壊に繋がる行為に対して、地元住民を法規制で厳しく縛っていたというが、今回の売却の提案については、地元住民に事前の報告がなかったということで、反発が起きているという。
PM2.5問題や、動物の死骸が大量に流れつく河川の水質汚濁問題など、中国国内では環境汚染の問題は、今最も旬の話題の一つといえる。日本国内の水資源も中国の富裕層が買い漁っているというニュースもよく耳にする。そんな折に出てきた「熱帯雨林買収」のニュースについて、インターネット上では、「よりによって環境破壊で他国に迷惑をかけている中国に売却を持ちかけるのは危険だ」「中国の企業が買ったら、熱帯雨林が消滅する」「環境破壊に拍車がかかりそうだ」などとネガティブな意見が多勢を占めているようだ。
売却を持ちかけているのは、中国の企業だけでなく、欧米やシンガポール、コロンビアなどの企業も入っているというが、いずれにせよ、どの国が買収したとしても、環境破壊が進むような開発だけは避けてもらいたいものである。
※記事へのご意見はこちら