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実用可能な循環型資源の活用へ(4・終)~島岡隆行九大大学院教授
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2013年4月 8日 07:00
九州大学大学院工学研究院 教授 島岡 隆行 氏

 東日本大震災を要因とする福島原発事故などにより、改めて見直されるようになった環境問題。太陽光発電などをはじめとする再生可能エネルギーへの関心が強くなるなかで、人々の生活から必ず出るゴミ(廃棄物)の処理・リサイクル分野にも、改めて注目が集まっている。廃棄物の最終処分、循環資源化などを専門に研究する九州大学大学院工学研究院教授である島岡隆行氏に、これまでの取り組みや今後の廃棄物リサイクルの展望について話を聞いた。

(聞き手:IB事業部リーダー・緒方 克美)

<時代に適応するシステムづくり>
 ――島岡教授の取り組む、新たな研究や業界として注目が集まっているものについて教えてください。

simaoka_1.jpg 島岡 これまで話してきた焼却灰ですが、そのなかでも種類があります。最近始めた研究分野でいえば、とくに清掃工場から出る焼却灰について、建設会社と共同で研究を進めています。灰に混和材と水を加えた後振動を与えると、ウォーターベッドのような弾力を持った剛体へと変化します。これを「超流体工法」と呼び、多方面の分野で活用しています。具体的には、同技術で立方体の漁礁ブロックがつくられ、五島列島の沖合の海底に積み上げて海底山脈をつくりました。この結果、養分豊富な海底の海流が上昇し、漁獲量が増加するといった結果をもたらしました。

 共同研究では、福島原発の事故によって発生した、放射性セシウムの多く含まれた灰についても、同技術を活用することで放射性セシウムや重金属が溶質しない剛体へと変化させる実績をつくることができました。これは、環境省の実証事業の1つに採択されたもので、今後は同技術の活用が進むことになるでしょう。

 ――今後の研究活動について教えてください。

 島岡 研究室の日本人学生や留学生とともに、アジアをはじめとする諸外国の廃棄物処理、循環資源の利用について研究活動を続けていきたいと考えています。
 廃棄物の処理・リサイクルをめぐる課題は、数多くあります。話した発生の抑制やリサイクルも単なる研究だけでなく、研究結果が実用可能なものへとつながるよう、産官学との連携による研究を進めていきます。

 ――本日はお忙しいなか、ありがとうございました。

(了)
【文・構成:杉元 敦】

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<プロフィール>
simaoka_pr.jpg島岡 隆行(しまおか・たかゆき)
1958年、京都府生まれ。現在、九州大学大学院工学研究院教授(工学博士)、東アジア環境研究機構プロジェクト推進室室長、附属循環型社会システム工学研究センター副センター長、などを兼任。廃棄物最終処分、廃棄物の循環資源化が専門。国内外での研究活動を進めるなか、福岡地区では飯塚市産業廃棄物最終処分場に係る調査専門委員会の委員なども務めている。


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