多数の競合ひしめく教育業界で、個別指導塾を核に、家庭教師派遣や店舗内装業、海外への進出などによって躍進を遂げてきた企業がここ福岡にある。2011年11月にグループを総括する目的で新たに設立された(株)SCホールディングスの代表取締役である吉田知明氏に、教育業界への思いや今後の展望を聞いた。
<アルバイトから生まれた教育業界への思い>
――教育業界で働こうと考えたきっかけを教えてください。
吉田 最初から、この業界に強い関心があったというわけではありませんでした。もともと、父がサラリーマンではありましたが電子部品製造会社の社長をしていましたから、その影響で私自身も大学では機械工学を学んでいました。今とは関係のない業界です。
転機は、学生時代に始めた家庭教師のアルバイトです。当時働いていた家庭教師派遣会社は富裕層向けの学習サービス提供を行なっていました。そこで、教師として生徒に接するにあたり、数字として表れる学力、また最終的な目標である受験に際し、喜びや感動といった感情を生徒やその親御さまから感じました。そして、その貴重な場にいつも接していられる教育分野に、強い関心を持ったのです。
ただ、生徒には学力の差があることと同様に、学習指導を必要とする生徒がいる家庭は富裕層だけではありません。そこで、私は庶民向けの学習サービスを提供したいと考え、独立に至りました。
――以前から、起業したいという思いを持たれていたのでしょうか。
吉田 父の姿を見ていたので、いずれは1つの会社を自身の力で引っ張って行きたいという気持ちはありました。多数ある選択肢のなかで、私は自己資金による独立という道を選んだわけです。
――独立から、どのような道のりを歩んでこられたのでしょうか。
吉田 私は鳥取県の出身ですが、前職時代に九州の責任者として福岡へ赴任していました。福岡の街も好きでしたし、この地でやっていこうと決め、2001年に家庭教師派遣業を目的としてスタンダードカンパニーを創立しました。創立当初はなかなか思うような結果も出ていませんでしたが、3年目ぐらいから事業として立ち上がってきたと言えるのではないでしょうか。現在の核事業である個別指導塾を初めて開設したのは、04年のことです。個別指導塾は、家庭教師に比べて安定した収益が得られるため積極的に展開し、教育事業の売上のうち約95%を占めるまでになりました。
現在、約1万人の生徒に対して、約2,500人の講師を擁しています。
<多彩な事業を手がけ事業の多角化を進める>
――教育分野以外の事業について教えてください。
吉田 皮切りは、10年に設立した内装工事会社の(株)店舗開発マネジメントです。塾経営において、各地区で多店舗展開した方が、店舗当たりのコストが下がり利益確保がしやすくなります。そこで、出店攻勢をかける際に自前で店舗をつくれる会社があれば、スピード感もあり効率化が図れるという考えのもと、設立しました。当初は自社の塾向けの仕事が中心でありましたが、優秀な社員のおかげもあって現在では約80%が外注となりました。金融機関や飲食店、同業者などお客さまもさまざまで、安定した展開をさせていただいています。
次に、建設業の免許が欲しいということで、大祥建設(株)をM&Aにて取得しました。これらが、主力事業になります。
また、海外展開の1つとして、中国の大連に自社のシステム開発などを行なうITセンターがあります。香港でも今年1月から個別指導塾の運営を始めました。ほかに、人材紹介サービスなども事業の1つとして展開しています。
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<COMPANY INFORMATION>
所在地:福岡市博多区店屋町8-17博多MSTビル7F
設 立:2011年11月
資本金:1億1,659万7,852円
売上高:(12/5)約28億円(グループ合計)
URL:http://www.sc-holdings.co.jp/
<プロフィール>
吉田 知明(よしだ・ともあき)
1972年生まれ、鳥取県出身。学卒後、家庭教師派遣会社にて勤務。2001年にスタンダードカンパニーを創立、代表を務める。その後、店舗内装会社などの設立やM&Aによる会社取得など多角的な展開を行ない、2011年11月に(株)SCホールディングスを設立、代表取締役に就任した。
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