――砕石事業はどのようになりましたか？
黒川 砕石事業については、ベトナムの現地企業との合弁事業として投資許可も頂き、あとは始めるだけというところまで準備はできていたのですが、ちょうどその頃、パキスタンで行なっていた大型道路工事において大きな赤字を計上してしまい、新規の海外投資に進出するだけの体力を失いました。このため、残念ながらベトナムへの砕石事業進出は断念せざるを得ませんでした。
砕石事業は、才田組（現サイタホールディングス）が法人として投資していましたが、お酒の事業は才田会長の個人投資としていましたので、会社の業績とは関係なく進出することができたのです。
才田会長は、最初の段階で絶対的な自信を持つことができなかったそうです。そして万が一、失敗した場合のリスクは自らが負えば良いと判断し、才田会長個人の投資で行なうことにしました。設立時は才田会長個人の会社でしたが、その後、2010年にサイタホールディングスの子会社に変更しました。
――現状を教えて下さい。
黒川 ベトナムのフエで、清酒、焼酎を製造し、主にベトナム国内で販売しております。ベトナム国内では、全体の売上の約85%を占めています。残り15％は、日本にも焼酎を輸出するほか、まだ少量ですが、タイ、ラオス、カンボジアなどにも輸出しています。今後、さらにASEAN諸国、その他の国への輸出にも取り組んで行きたいと考えております。基本的には、外資系企業ではなく、ベトナム国内市場向けのローカル会社という認識で事業を行なっています。
会社には、経営管理、技術管理のための日本人が各１名、計２名常駐しています。ベトナム人スタッフは80名程度です。原材料の管理、製造工程管理、品質管理など、ISO、HACCPも取得し、当たり前のことをまじめにやっていると自負しています。お蔭様でそれなりの評価は頂ける様になって参りましたが、さらに努力してまいります。
――国内で御社の商品を購入するためには、ネット通販以外では、どこで購入できますか？
黒川 日本国内には2.7リットル、４リットルといった大容量の焼酎（プラスチックボトル）を輸出し、フエフーズ・ジャパンを通して、九州では、トライアルカンパニー様、ドラッグストアモリ様などで取り扱っていただいております。本来ならばビン製品の焼酎も日本に輸出したいのですが、残念ながら関税の影響などで、日本の他メーカーとの価格競争で負けてしまいます。そのため、ビン製品の焼酎の販売は断念致しました。
――設立から現在に至るまでどのような苦労がありましたか。
黒川 いまだに、いろんな形の苦労をしています。よくもまあ、とっかえひっかえ、新たな苦労が出てくるものだとあきれるほどです。製造面、営業面など、様々な問題がいろいろありますが、人材教育がとても大切だと、今でも思っています。日本、海外に限らず、仕事をするなら、「相互信頼」のもとでやっていかなければなりません。相手を大事にし、相手を育てていけば、相手からも同じように信用、信頼してもらえる、「結果として企業が成長してくことにつながる」と、基本的には思っています。最初からこのような考えで一貫してやってきたつもりですが、最初のころは思うようには行きませんでした。言葉の問題、人材教育の大変さ、大企業にあってはそう大した問題ではないかもしれませんが、私どもの規模の会社にとってはやはり大きな問題ですね。
※記事へのご意見はこちら
