＜綿密な計画により他社との差別化を実現＞
　――多くの競合のなかで、御社が積極的な展開を図ることが可能な理由は何でしょうか。

　吉田　まず、個別指導塾という形態を事業の柱としたことにあると思います。学習塾と言えば、以前は集団授業の形式がほとんどで、最初に出てきたのは約30年ほど前です。とはいえ、当時は一部の塾が手がける程度でした。次第に、家庭教師より割安でそれに近いサービスが受けられるという面が認識されるようになり、集団授業が当たり前であった学習塾の業界にイノベーションを起こし、急速に拡大が進みました。

　弊社が運営する個別指導塾でいえば１つは独立のきっかけでもある対象の違いが挙げられます。前職時代の生徒１人当たりの単価は、月４～５万円と富裕層向けであるのに対し、弊社は月２万円です。週１回１万円から始められることもあり、富裕層でなくとも学習指導を提供できる設定となっています。実際、富裕層やすでに学力の高い生徒に比べて、それ以外が大半を占めており、伸びしろはまだまだあると考えます。

　――これだけの店舗を展開するとなると、それぞれの講師管理にも大変気を使わなければいけませんね。

　吉田　その通りです。他社との違いの１つに講師の調達能力があると思います。基本的にはHPでの募集から、学力・適性検査、そして面接を経て採用という流れになります。生徒へのいたずらや暴力をされるわけにはいきませんから、ここでしっかり見極めること、その後の模擬授業などでもサポートしていきます。また、挨拶・掃除・成績アップという弊社の三原則に則り、講師の教育も行ないます。報酬についても、いわゆるアルバイトの昇給システムは取っておらず、正規採用に近い昇給試験や生徒からの評価に沿ったものとなっています。生徒から選ばれない講師は、当然指導ができませんから、給料も減ります。現在ほどの講師数になると、こういった制度などで規律をとっていくしかありませんが、おかげさまで問題なく運営が行なうことができています。

　――少子化問題を抱える日本において、教育事業をメインに置いた御社としてはどう考えていますか。

　吉田　これは、独立しようとした時に同じ理由で父にも反対されていました。ただ、実際にやってみて感じていますが、少子化によるマーケットの縮小は何も教育業界に限ったことではありません。人口が減るので当然と言えば当然なのです。
　考え得る対策としては３つあると思います。海外展開、事業の多角化、そしてM&Aによる吸収です。これまで話してきたように、弊社ではその考え得る対策を同時に進めながら、事業の展開を図っています。

＜グループを牽引し次世代の教育事業を形成＞
　――11年11月に（株）SCホールディングスを設立し、グループとして新たな一歩を踏み出したと思います。今後の展開について教えてください。

　吉田　当面は現在のグループ内で展開していきたいと思いますが、いい話があれば建設業界でも同業界でもM&Aなどは積極的に考えていきたいと考えています。

　――ボランティア活動にも積極的に参加されているとお聞きしました。

　吉田　国内では、不登校の生徒を無料で塾に受け入れています。また、東日本大震災や九州北部豪雨の際にも同じく塾への受け入れを行ないました。海外では、カンボジア地雷撤去キャンペーン活動の支援を行なっています。

　――現在、塾の展開を名古屋地区まで広げられていますが、今後も拡大路線を続けていきますか。

　吉田　近いところでいえば、今年の春に佐賀県への進出をするために準備をしています。すでに、佐賀市内に大祥建設で土地の仕入れから建設までを行なっています。昨年、鳥栖には開設しましたが、経済圏は福岡なので、今回が佐賀県への本格的な進出になると思います。

　また、札幌へも今年１月に店舗開発マネジメントの支社を開設し、４月から塾の展開を考えています。店舗効率を考えて支社への塾併設、出すなら３店舗は出さないといけませんから、４月に１店舗、６月に２店舗の開設を予定しています。
　将来的には、関東地方など主要都市を押さえつつ、全国47都道府県に塾を展開していきたいですね。海外事業については、現在香港で始めていますので、そちらが軌道に乗れば別の国への展開も考えていきます。

　――そうなってくると、株式上場も視野に入ってくるのではないでしょうか。

　吉田　もちろん、株式上場も将来的には考えています。ただ、拡大路線一本で突き進むだけではなく、きちんと出店先の情報を綿密に調査し、適切な設備投資・出店計画を練っていかなければなりません。地盤を固めながらの展開を進めていきます。

　――教育業界が抱える問題を視野に入れながら、高品質なサービス提供を行なっているのですね。福岡から全国、そして海外へ展開されている御社の今後に期待します。ありがとうございました。

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＜COMPANY INFORMATION＞
所在地：福岡市博多区店屋町８-17博多MSTビル７F
設　立：2011年11月
資本金：１億1,659万7,852円
売上高：（12/５）約28億円（グループ合計）
ＵＲＬ：http://www.sc-holdings.co.jp/

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