「職人たちが値上げを要求して、仕事の段取りがつかない。どうすれば良いか頭を痛めている」と語るA社長には、悲壮感が漂っている。そこで、"反乱職人"を束ねる親分に聞いてみた。
「イヤ―!!コダマさん。『ザマをみろ!!』というのが本心だ。今まで業者を叩くことしか眼中になかった会社だ。我がことしか考えてこなかったんだから。完工高もせいぜい、20億円止まりだ。あの程度の建設会社を相手していても、話にならない」と厳しい姿勢を崩さない。
繁盛期にあまり高飛車でいると、"反乱職人"から反撃を食らう実例か。A社の存続は、困難かも?
「20億円の規模であれば職人の確保のメドはつくのだが、下手に仕事を受けると倍増する勢いだ。仮に40億円の仕事を受けたとすると、必ず納期遅れになってしまう。結果、ペナルティを課されて会社はアウトになる」とB社長は現局面のジレンマに苛立つ。また、先ほどの親分に問いただした。
「B社長ね!!頭も低いし、なかなかの人物だ。日頃の付き合いから、できるだけの応援はしたくなる先だ。しかし、B社長も危惧する通り、完工高30億円を超えると職人の段取りが難しくなり、工程管理に支障が出てアウトになるだろう」と解説してくれる。
"職人の親分"はB級クラスには、ほどほどに付き会ってくれるということか!!
「コダマさん!!たしかに職人の確保は難儀になってきたね。値上げの要求も厳しいことは現実だ。ただウチは、協力会の結束を大切にしてきた。協力会の皆さまは、我が社の仕事を優先的にこなしてくれてきた実績がある。仕事を選別していけば、業者さんの協力は得られる」とC社長は余裕綽々である。再再度、親分にコメントを求めた。
「C社さんですか。あの会社は、たしかに単価の面では厳しいが、下請け先を大切にしてきた。理不尽なことは、いっさいしてこなかった。紳士の会社だ。仕事の量も半端でないから、我々業者側から見放すことはできない。そうしたならば、こちらの打撃も大きいからだ」と親分はC社に対して一目置く。
A、B、C社に対して"反乱職人"の親分たちは、冷静に付き合いの判断をしているものだ。さーA社、B社、C社がどこか、検討していた方が身のためである。
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