選挙期間中におけるインターネットの利用、つまり「ネット選挙運動」が7月の参院選から解禁される。それに伴い、政治家の間では、ネット選挙運動についての勉強会などが開かれ、関心が高まる一方だ。では実際に、ネット選挙運動の解禁が選挙にどう影響するのだろうか。立候補者だけではない、情報を受ける側に立つ有権者は何に気を付けるべきか。すでに言われているところでは、「なりすまし」や「誹謗・中傷」といった不確かな情報の存在が不安要素として浮上している。
<ネット選挙運動の解禁は自然の流れ>
今回、NET-IBは、ネット上の風評被害コンサルティングを手掛けてきたシエンプレ(株)(本社:東京都港区)を取材。ネットにおける企業などの風評被害対策だけでなく、政治家のネット活用のバックアップなども携わってきた同社だが、ネット選挙運動の解禁で、政界でもネット上の誹謗・中傷や誤情報の拡散を防ぐ必要性が増すという。有権者に広くアプローチするのに有効なネット活用。今後は、攻めだけでなく〝守り〟も意識しなくてはならないようだ。
4月11日、インターネットを利用した選挙活動を行なってもいいとする公職選挙法改正法案が、衆議院政治倫理・公選法特別委員会を全会一致で通過。ネット選挙運動が、今夏予定の参議院選挙から解禁される。昨年12月に行なわれた衆院選も含め、これまでは、普段しきりにツイッターでつぶやいていた候補者も、選挙期間が始まる公示(告示)ともに、ネット上で一斉に沈黙していた。「ネット隆盛の時代にそぐわない」という声が高まり、公職選挙法改正に至ったのである。
次の参院選では、これまで選挙期間中に行なわれていなかったホームページやブログの更新、ツイッター、フェイスブックなどソーシャルメディア(SNS)の利用が正式に認められる。有権者は、立候補者の最新情報を選挙期間中もネットで得ることができる。その一方で、誤った情報や、立候補者の発言意図とは異なる情報が、ネットによって拡散しやすいという危険性もはらんでいる。
インターネットにおける企業などの風評被害、誹謗中傷対策に力を入れてきたシエンプレでは、ウェブ上を監視することで、間違った情報、デマ、発言の歪曲を防ぐサポートを手がけている。具体的には、リリースによる訂正、歪曲した記事の訂正、削除依頼などのほか、風評が広がるのを未然に防ぐためのコンサルティングを行なっている。同社のWEBソリューション事業部の桑江令氏は、「(ネット選挙運動が)解禁になるのは、自然な流れです。これまでも政治家の支援者らが、名前を伏し、水面下でネットを使って事実上の選挙活動を行なっていたという実態があります。伝聞を使った意図的な拡散や誤った情報、誹謗・中傷などが出回らないようにきちんと監視し、防止策を打っていく必要があります」と、解禁に際して、"あらぬ情報"の火の粉を被らないよう、今後一層の防衛線を張る必要性があると指摘する。
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