「子供にツケをまわさない!」と書かれたシールが政治関係者や市民の間で広まり始めている。提唱者は千葉商科大学大学院の吉田寛教授。吉田教授は、全国各地での講演や出版を通じて、会計による政治・行政の健全化を訴え続けてきた。
日本国憲法第30条で定められている『納税の義務』。しかし、課税する権利は、政治家にも税務署にもない。憲法前文で『主権在民』が定められている以上、日本における課税権は我々国民にある。しかしながら、選挙権を持たない子どもたちは、たとえ税制度に不満を抱いても、それを正すために代表者を政治の場へ送り出すことができない。集めた税金を適切に使うことは大人たちの責任である。
『吉田寛教授流公会計』とは、「納税者が承認できるような税の使い方をしたか」「均衡財政を維持したか否か」などを納税者に提供することを目的としている。「その人に会って、功績を計る」という会計の本質に立ち、政治・行政を評価するのだ。納税者(有権者)は、税の使い方に不服を感じれば、選挙によって代表者を変えることができる。
日本の政治・行政における会計制度の遅れは、かねてから指摘されてきた。為政者が自らの支配体制を強固なものとするために行なうのが情報統制である。はたして現在、日本の選挙において、有権者は満足な情報を与えられているだろうか。政治・行政が都合の悪い情報を伏し、知るべき功罪を知らず、単なるイメージや期待だけで投票が行なわれていることはないか。改善を図るために必要なのは政治家、行政職員、有権者といった大人たちの認識であるとして、吉田教授は啓発活動に取り組んでいる。
<5月8日、福岡市で特別講演>
「子供にツケをまわさない!」のロゴを登録商標とし、市民運動を行なっている日本税制改革協議会では、考えに賛同する政治家に「納税者保護誓約書」への署名を求めている。国会議員、地方自治体の首長や議員における署名者の数は増えつつあり、選挙の際には署名した候補者が一覧で紹介される。
16日、名古屋市で吉田教授の財政研究会が開催され、多くの行政職員が参加した。5月8日(水)午後6時からは、福岡市で吉田教授の特別講演会が予定されている。日本における、政治や税のあり方が本当にベストと言えるのか。同講演会は、その点において気づきと学びが得られる良い機会となるだろう。
▼関連リンク
・吉田寛教授 特別講演会「子どもにツケをまわさない!公会計」
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