<地上の風でも発電可能>
地上で吹く風は、その多くが風速3~4メートル。強風の日でも、6メートル程度にしかならない。大型、中型の風力発電機では、木が揺れる程度の風では電気を作れない。
いわゆる風車型の大型風力発電機は場所を選ぶ。強風が吹かなければ効率が上がらないことに加え、回転時の風切り音による騒音の問題などもあり、山の上や海の近く、もしくは洋上などの広い場所に設置するしかない。発電に向く強風が365日吹くわけではなく、大型の稼働率は20~30%程度と言われている。建設費、設置費用は1基あたり約2億円と、加えて、土地造成費、送電線工事費などもかかる。
規模は小さいが、小型は、45%程度の稼働率があり、メンテナンスも大型に比べると、格段に簡単に済む。相原氏らが開発した小型風力発電機は、ユニットを組むことができるため、縦、横に重ねて使うこともできる。
<小型ゆえに用途は広い>
ビルの屋上などに設置して、ビルで使う電力をまかなうこともできる。低周波や振動が出ないこと、故障が少なく、メンテナンスが容易であること、突風や飛翔物に対して強度があることなど、経産省から要求された、いくつかの課題をクリアした。
この小型発電機は、約333基分で、大型1基分の発電力と同等の発電能力を持つが、市街地に吹く弱い風でも発電でき、稼働率が高く、1基でもビルの上などに設置でき、故障がほとんどなく、メンテナンスの手間が少なくて済むことを思えば、その使い勝手のよさ、効率のよさが、自然エネルギー分野に貢献できる部分は少なくない。
相原氏は、「輸送費や工事費が少なくて済むのもユニットを組む利点。この秋ごろに、量産型のプロトタイプを作ります。できるだけ日本の技術を使って、できるだけコストも安く抑えたい。ただ、耐用年数を長く保ちたいので、材料の質は落とさない。羽は、サビ防止と強度の面からアルミで作ろうと考えていて、業界と連携して、いいモノづくりをしたい」と、日本の技術にこだわっている。
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