日本政策金融公庫がこのほど発表した景気動向等調査(2013年1~3月期)の結果、飲食店など生活衛生関係の業種では、売上DIはほんのわずかに前期比上昇したものの、採算、業況の各DIはそれぞれ大幅低下した。業況DIは前年同期比でも13期ぶりに下回り、先行きは厳しい。利用客数、客単価はそれぞれ微増、微減と横ばい状態。
売上DIを業種別にみると、飲食業、理容業、ホテル・旅館業などで前期を上回った。来期の見通しでは全業種で上昇を見込んでいる。
一方、採算では前期比9.9ポイント低下し、マイナス31.8となった。業種別では、上昇したのは映画館、公衆浴場だけだった。業況にいたっては、20.4ポイント低下のマイナス48.9。ただし、来期の見通しは、45.4ポイント上昇と大幅に改善が見込まれるが、マイナス3.5と依然厳しい状態が続く。
設備投資を実施した企業の割合は5.3%に過ぎず、2011年4~6月期以降連続低下している。そのなかでも、ホテル・旅館業の15.5%、映画館の10.2%が設備投資した。来期以降の設備投資計画も、ホテル・旅館業の14.9%、映画館の20.0%が予定している。
ホテル・旅館業は、別の調査でも経営上の問題として、「施設の狭隘・老朽化」をあげる企業がもっとも多く(「国内宿泊施設利用に関する消費者意識と旅館業の経営実態調査結果」。2012年11月実施)、今後、かなりのホテル・旅館が設備投資を進めると予想される。一方、資金不足が経営課題になっている企業も多く、設備投資ができない場合には、いっそうの客離れと淘汰に追い込まれかねない。
九州の各地域の特徴では、長崎県で今年、市が観光への投資を大幅に増やしており、ランタンフェスティバルは前年より人出が多く、飲食業で波及効果があったとしている。
福岡の理容業は、来店サイクルが長期化しており、業況悪化判断につながった。
鹿児島県の公衆浴場では、敬老パスの駆け込み使用が年度末(2013年3月)で終わるため、4月からは利用が減少すると見通している。
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