中国の富裕層の約3割が、子どもの教育や資産の安全のために海外に移住していることがわかった。中国・グローバル化研究センターと北京理工大学法学院がこのほど発表した調査結果をまとめた報告などによるもの。「中国経済新聞」が4月15日付で報じた。
中国の富裕層による海外の土地や外貨預金への投資(資産移転)熱が近年上昇していることは知られているが、財産などを守るためには、投資だけではなくついに移住を決断する動きまでになっている。
「中国経済新聞」が報道した同報告によると、1億元(約15億円)以上の個人資産を持つ企業オーナーの27%が「すでに海外に移住」しており、47%は「移住を検討中」。
海外移転資産額は毎年100億元(約1,500億円)にのぼり、「投資移民」と呼ばれている。そのほとんどは30歳から40歳で、企業経営者、企業の管理職と公務員の家族が多いという。同調査では、約6割が「投資移民を完了、あるいは検討中」というから、資産の海外移転はすさまじい規模で進んでいる。
それに加えて、国から逃げ出す、文字通りの移民が新たに広がっているのだ。中国からの永住移民は15万人以上にのぼっている(2011年)。
移住理由の8割が「子供の教育のため」だと報告は明らかにしている。中国の教育レベルが欧米先進国よりも低いことや、中国で教育を受けた学生は想像力や創造性に乏しいことが、移住を選ばせる理由として浮かび上がっている。
移民先(移住申請先)の半数以上は米国が占めるという。移民の主流は、富裕層と知的エリートだが、同紙は、中産階級の割合が高まっているとの結果を報じている。
また、移民の国・カナダでは、同国の永住権を取得した移民のうち最も多かったのは中国人(約3万2,990人)、次いでフィリピン人(3万2,704人)、インド人(2万8,889人)だった(2012年10月~12月)。ただし、国籍をカナダに移す中国人は少数派で、しかも減少傾向にあるという。「中国経済新聞」は「永住権を獲得することを好む一方、国籍まで変えることには関心を抱いていないということだ」と分析している。
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