ディスカウント、ドラッグストア、中央大手の攻勢に晒されるサンリブは6期連続減収が続く。新たな方策が求められるなか、今秋にも鮮魚直営化に乗り出す。ところが、その手法は同社とともに成長してきたテナント役員の引き抜きであることが判明した。突然の変節は同社の苦境をより鮮明なものとしている。
<鮮魚テナントの役員引き抜きで直営化へ>
鮮魚テナントM社は、(株)サンリブの74店舗中34店に入居する。両社の取り引きは旧組織時代を含め、およそ30年にわたる。また、M社は歴代のサンリブ取締役2名を同社の取締役として受け入れるのが慣例で、現在の社長・専務もM社役員に名を連ねる。加えて、サンリブはM社の株式23%を保有する。文字通り親子に近い関係だ。
こうしたなかで、今年2月中旬に異変が起きた。M社代表の義理の弟で実質ナンバー2の取締役S氏が退職願を提出したのだ。退職希望日は記されていない。突然の申し出に戸惑ったM社代表は、真意を図るべく何度となくS氏とのコンタクトを試みたが、再三の働きかけにもS氏が応じることはなかったとされる。その後、サンリブは4月に入り役員2名がM社を来訪。その席で、鮮魚の直営に乗り出すこと、その責任者にS氏を就任させることを宣言した。音信不通とはいえ、この間にも給与・保険などは継続されており、S氏はこの時点でM社に在職中にも関わらず、である。結局、4月22日の取締役会で辞表の扱いが決定されたと見られるが、地場大手らしからぬ背信行為である。
ほぼ同時期に、サンリブは別の動きも見せる。S氏が辞表を出す直前、サンリブ役員が兼務するM社の取締役の退任方針を通告したのだ。M社によると、サンリブに相談なくM社が飲食・直売施設を開業したことが理由とされる。その場でサンリブ側がM社の会計が不明瞭であることを指摘したという。実際にM社は、償却費の計上もあって同部門の赤字を認めている。しかし、この施設の開業は9年前にさかのぼる。現在の年間来場者は約40万人におよんでおり、キャッシュフローで貢献していると主張している。
「なぜ今なのか」――。M社代表は釈然としない。それでもM社はサンリブの意向に沿うかたちで同施設をM社から切り離し、サンリブとは資本・人事面で関係ない別会社へ移行する提案を行なった。しかし、サンリブは耳を貸さず、役員退任と取締役引き抜きは強行された。
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<COMPANY INFORMATION>
代 表:佐藤 秀晴
所在地:北九州市小倉南区上葛原2-14-1
設 立:1955年9月
資本金:7億円
業 種:スーパー経営
売上高:(12/2)1,461億2,400万円
仕入先:日本アクセス、コゲツ産業、三菱食品ほか
販売先:一般顧客
取引行:北九州(本店営業部)、西日本シティ(北九州営業部)ほか
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