福岡県や熊本県などの小中学校を中心に約1,800校が緊急連絡として利用している「学校安心メール」がシステム障害のために、4月9日以降、利用や登録ができなくなっていたことがわかった。現在部分的に復旧しているものの、新規登録は制限され、回復するのは4月23日から「4~5日要する見込み」とされる。同メールシステムを提供しているのは、(株)テクノミックス(本社・熊本県益城町、寄元正義代表)。同社は、大気環境情報メールなども配信している。
テクノミックスの寄元正義代表は、NET-IB取材に対し、「どんな形で提供しているのかご存知ですか。無料で提供しているんですよ。学校管理者の掲示板には掲載しました。徐々に学校から保護者には連絡がいっています」と、学校の責任と言わんばかりだった。
確かに民間企業の協賛でまかなっていて利用する学校の負担はないといっても、登録した保護者らには協賛企業のお知らせが届くので、「学校安心メール」を媒体にして広告収入をあげているという見方もできる。「無料だから」という言い訳は通用しない。
また、契約書には、「サーバーの故障、システム障害」が発生した場合、「故障、障害が判明した時点で連絡を行い、復旧作業終了時は原因(作業内容を含む)を報告」と定められている。
市教委は取材に対し、テクノミックスからの第1報が4月10日だったと答えており(状況からすると、同日正午前後だと思われる)、「故障、障害が判明した時点」で連絡がなかったことは明らかだ。
今回、テクノミックスが学校管理者向けに掲載した「お詫びとご連絡」を入手できた。それによると、上記12日の「お詫びとお知らせ」が最初だったことがわかり、対応の遅さが浮かび上がる。その翌日13日、「メール受付を遮断しました」とあり、土曜日のため学校が保護者にただちに周知徹底することは実際には不可能。新システムへ移行しての利用再開は4月25~26日とされ、保護者の新規登録は5月1日以降との連絡が掲載されている(実際には、22~23日に再開、としている)。
新学期、新年度の始業式、入学式に登録が集中するのは誰が考えても当然であり、契約学校数から登録数は容易に想定できる。
利用する学校数が前年比で増加すれば、「例年より多い」ことはありうるが、「当社の想定よりはるかに多い」というのは、原発事故を起こした東京電力や政府と同じように「想定外」といえばだませるという無責任体質に他ならない。
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