福岡地裁で先日行われた競売案件が、不動産業界で話題になっている。対象となった物件は、「博多の台所」と呼ばれる柳橋連合市場内にあり、広さにして約1,800平方メートル(553坪)。合計13億8,886万円で落札されており、落札者は個人名義で、U氏である。
注目を集める理由はいくつかある。当然ながら、ひとつは13億円を超える落札額である。落札金額を坪換算すると約251万円となるのに対し、予め設定された基本評価額は合計4億5,363万円、坪あたり82万円。3倍もの開きがあるため、業界筋からは「計算間違い」「桁を間違えた」との声が挙がり、「保証金を流して御破算だろう」との観測も聞かれる。他方で、保証流れとなれば2,200万円近い金を捨てることになる。今回の入札が2口に分けて行なわれ、「2つとも間違うのも考えにくい」(業界筋)という事情もあり、結局は決済の成否を見守ることになりそうだ。
もうひとつの注目はU氏の存在。なぜ会社名義でなく個人名義なのか、金の出所はどこなのかという点が注目を集めている。U氏が代表を務めるA社が何かと話題の企業であることも手伝い、様々な観測が流れている。
そもそも今回の競売の背景には、同地の家賃債権を巡る所有者P社とY社との間の争いがあり、これに付随する複数の裁判が展開されていた。加えて、舞台となった柳橋連合市場は、再開発話が出ては消えるといった具合に、定期的に周囲の関心を呼ぶ。過去には物件取得を巡って逮捕者が出た経緯もあり、デジャブのように再び注目が集まっている。
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