中国政府の工業情報通信化部が先ごろ発表したデータによると、昨年の携帯電話SMS(ショートメールサービス)の利用者は7.7億人で、発信件数は8,970億件にのぼったことが発表された。前年に比べて2%増という数字で、ここ数年で最も低い伸び率だという。携帯電話の所有者が2桁成長しているなかで、中国でも「携帯メール離れ」が進んでいるという見方がある。
SNSが全世界に普及している。代表的なものに、フェースブック、ツイッター、LINEなどが挙げられるが、中国でも、中国版ツイッターと呼ばれる「微博」、中国版LINE「微信」、インターネットショッピングモール最大手のタオバオが展開する「旺信」などがある。簡単操作で、ニュースが見られることや、友だちと情報交換することなどが受けて、爆発的にヒットしてきているのだ。特に、パクリに関しては「何でもアリ」の中国では、勢いのあるサービスが出てくると、それと類似したサービスがどんどん出てくる。携帯の普及率の伸びにともない、この分野は超成長分野になってきている。
こうした背景のなかで、携帯のショートメールサービスだけが取り残されているのではとの見方が出てきている。スマホ時代になり、様々なサービスがアプリケーションとしてスマホのなかに入っていくと、より楽しくより快適なサービスにユーザーはシフトしていく。選択の幅が広がった結果、旧来型の携帯メールサービスが減ってきているようだ。
中国では、政府機関によるマスコミへの情報規制がいまだに厳しく、インターネット上でも同様のことが言える。これは日本や欧米諸国にはない独特の文化だ。してはダメだと言われれば、やりたくなるのが人の心。だからこそ、中国国民の情報発信への貪欲さがあるのかもしれない。身近な人に1対1で送るショートメールサービスより、個人個人が情報発信できるSNSの方がウケているのかもしれない。
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