ネットアイビーニュース

NET-IB NEWSネットアイビーニュース

サイト内検索


カテゴリで選ぶ
コンテンツで選ぶ
会社情報

経済小説

「維新銀行 第三部 クーデター」~第2章 クーデター当日(37)
経済小説
2013年4月29日 07:00

<経営会議(36)>
 黒部検査部長との話し合いを終えて秘書室に戻った堀部は、
「谷野頭取の再任に反対の動きを結集したのは、谷本相談役に違いない」
 と確信を深めると共に、まさに自分自身が決断の岐路に立たされていることを思い知らされることになった。

b_2.jpg 堀部が黒部と喫煙ルームで話し合いをしていた頃、経営会議は最終局面を迎えていた。
 議長の谷野は、
「経営会議と取締役会は商法上取締役会の方が上位にあります。従って、取締役候補の選任については、また取締役会で同じように皆さん方の意見を出していただくことになろうかと思います。その際はもっと簡潔にご意見をいただくということになるかもしれません。取締役会は栗野会長が議長として議事を進めることになります。取締役会には4名の取締役が加わり、15名での採決になろうかと思います。経営会議に出席しておられなかった取締役の意見をいろいろ聞くことになるかと思います。そこでもって最終結論を出すということになると思います。経営会議で動議を出された方は、当然次の段階として代表取締役を発表しないといけませんので、それはその時に発表していただくことになります」
 と述べた。

 すると谷本相談役と第五生命の山上正代の推薦によって次期頭取候補に指名されている取締役の古谷は、
「選任の場合は利害関係者ではなく、投票の権利があるのではないですか。ですから5:5:1ということで宜しいのではないですか」
 と、敗軍の将を労わるような発言をした。
 その意図を知った谷野は、あえて波風を立てることなく、
「私は当然動議に反対しておりますので、訂正し5:5:1と言うことで議事録には残したいと思います。それから記者発表の時間が3時からと決められています。経営会議が長くなり申し訳ありませんが、食事を早めにしていただき、少しでも早く取締役会を始めたいと思います。プリントの準備ができていないので、これを慌ててやって、東証にも提出しないといけません。出来れば2時くらいに結論が出れば、その準備ができると思います」 
 と述べた。

 続けて谷野は、
「それでは第4号議案に入ります。第4号議案については監査役選任の件ですが、今定時株主総会終結の時をもって、大沢氏、下田氏、木村氏の3名全員が任期満了となります。つきましては監査役候補として、大沢明之氏、下田隆氏、木村賢一郎氏の三名の再任を、ご提案申し上げます。ご審議の程宜しくお願い致します。以上です」
 と述べた。
 すると沢谷専務が挙手し、
「私は対案を出させていただきます。選任に当たり下田隆氏、木村賢一郎氏の再任と、新任監査役候補として、黒部亘氏の3名をお諮りしたいと思います」
 と、谷野の再任の時と同じように動議を提出した。

(つづく)
【北山 譲】

≪ (36) | (38) ≫


※この作品はフィクションであり、登場する企業、団体、人物設定等については特定したものでありません。


※記事へのご意見はこちら

経済小説一覧
NET-IB NEWS メールマガジン 登録・解除
純広告用レクタングル

2012年流通特集号
流通メルマガ
純広告VT
純広告VT
純広告VT

IMPACT用レクタングル


MicroAdT用レクタングル