中国文明発祥の地、シルクロードの出発点、中国歴代13王朝の都、世界四大古都の西安が今、「ハイテク産業都市」として生まれ変わろうとしている。それは、中国が「世界の工場」から「世界の市場」になり、経済の中心が沿岸部から内陸部へ移っていく過程で必然と言えるのかも知れない。西安は、中国大地の原点であり、東西南北を繋ぐ重要な戦略位置を占め、物流集散地でもある。そこで、北京の顔、上海の顔とも違う新しい中国の顔が浮かび上がってくる。
記者は4月上旬に第12回中国西部国際経済交流会、第17回中国東西部国際展示会および黄帝清明節(国家公祭)に参加する為に陝西省人民政府のプログラムで訪中、西安高新技術開発区(ハイテク産業開発区)や西安郊外の中国唯一の農業特区である楊凌等を視察、兵馬俑、華清池、乾陵、法門寺などを観光した。最新、西安事情をお届けする。
<中国5000年の歴史の証、黄帝(こうてい)!>
「黄帝清明節」(国家公祭)
中国は4000年の歴史とも5000年の歴史とも言われる。その5000年の歴史の証が黄帝である。漢代に司馬遷によって著された歴史書「史記」によれば、姓は公孫、名は軒轅という。夏、殷、周や秦の始祖を初め数多くの諸侯が黄帝の子孫であるとされている。黄帝は中国医学の始祖としても有名で、現存する中国最古の医学書「黄帝内経素問」、「黄帝内経霊枢」も黄帝の著作とされている。古代伝説中の帝王であるが、中華民族の祖であり、団結統一のシンボルである。
黄帝陵は、西安市内から車で約2時間、陝西省延安市黄陵県に位置する。1961年には国務院により、初の全国重点文物単位に指定され、「天下第一陵」と称されている。歴代帝王と著名人がここで祭祀を執り行なうことでも有名である。近代では、蒋介石、孫文、毛沢東、鄧小平、江沢民など歴代の主席、首相や、香港、澳門からの賓客も訪れ、陵庭内には多くの記念碑が立っている。
4月4日は中国の「清明節」に当たる。清明節とは祖先の墓を掃除し、お参りする日である。日本のお盆に当たる年中行事だ。「黄帝清明節」は国家公祭となっており、巨大な祭典場が設けられ、国内外の代表が挨拶、献花が行なわれ進行する。祭文発表、供物ささげ、竹の砲ならし、松柏植樹、黄帝陵拝謁が一連の流れである。中央テレビ局(CCTV)、地元西安TV局など多くのメディアが入る。ネットメディアも生中継を行なっている。その晩は、地元西安TVは勿論、CCTVでもメインニュースの一つとなっていた。
参加者は龍がデザインされた特別な入場バッジ(毎年変わる)を付け、案内冊子を渡され会場に入る。式典が始まると、巨大な祭典場が人で立錐の余地もなく一杯になり、まったく身動きができなくなった。挨拶、献花の後で、舞踏が行なわれ、最後のシーンでは大きな龍が登場、それが空に放たれ、舞い上がった時点で式典は終了した。(中国が龍の様に、舞い上がって行く思いが込められているらしい)
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