この連載の第3回で、参議院HPの「ライブラリー」のなかにあった資料を加工して、関連資料にリンク可能な表を作成し、第4回、第5回とこの表のリンクを利用した調べ方を紹介した。このリンクを利用した調べ方については、この後も何回かかけて説明を続けるが、第6回から第8回にかけては、この表を利用せずに調べる、より一般的な方法について説明する。
と言うのは、第3回で作成した、関連資料にリンク可能な表は、便利ではあるけれど問題もある。参議院がHPをリニューアルするなどした際にリンクが切れてしまい、使えなくなる可能性がまったくないとは言えないからだ。また、より一般的な調べ方も知っておく必要がある。これだけ時間をかけて説明するのは、「議案」というものがとても重要で、その調べ方に精通することが「国会通」への道につながるからだ。
まず、衆議院のHPを開いていただきたい。真ん中よりちょっと下くらいの右側に、「議案」があるので、クリックしてもらうと、現在開会中の第183回国会の「議案の一覧」が出てくる。上から、「衆法(衆議院議員提出の法案)」、「参法(参議院議員提出の法案)」、「閣法(内閣提出の法案)」、「予算」、「条約」、「承認」、「承諾」、「決算その他」、「決議」の一覧が出てくる。探したいものがあれば、このなかのどの分野に含まれるか、あたりをつけ、「議案件名」欄を見て、これかもしれないというものを探す。ただし、名前だけ見てもわからないことも多い。そういうときには、表の右側にある「本文情報」や「経過情報」などを見て、自分の探そうとしているものと同じかどうか探ってみる。
しかし、「本文情報」は、条文や修正案で、法律に慣れていない人は読む気にもなれないだろう。また、慣れている人であっても、そういうやり方では効率は良くない。
そこでお勧めなのが、所管府省のHPで概要などを掲載していないか見ることである。たとえば、閣法第16号「エネルギーの使用の合理化に関する法律の一部を改正するなどの法律案」が探したいと思っている法案かもしれないという場合には、経済産業省所管だろうと大体わかるので、経済産業省のHPで、「エネルギーの使用の合理化に関する法律」について検索し、日付が近いものから見てみよう(法案のフルネームで検索すると、絞られ過ぎてしまうことがあるので、元の法案名や略称で検索したほうが良い)。この法案が、住宅・ビルの省エネルギー対策および企業の電力ピーク対策の円滑化のために提出されたこと、省エネのトップランナー制度の対象をこれまでの車や家電から壁や窓など建築材料にも拡大し、住宅・建築物の断熱性能の底上げを図ろうとするものであることなどがわかる。
最近は、以下の表のように、各府省が国会提出法案について、関係資料をまとめてHPに掲載しているので、どの府省の所管かが大体わかれば、その府省の国会提出法案のページにある、法案の概要、要綱、新旧対照表、参照条文などを一挙に見ることができる。 どこの府省の所管かがわからなければ、これらを順に見て探すというやり方もあるだろう。
いずれにしても、探している法案などの議案がいつ頃のものか、第何国会かがわからないと、なかなか探し当てることができない。だからこそ、さまざまな情報を集めて時期を特定する必要がある。また、昔の議案については、衆議院の「議案の一覧」の頁の左側で国会回次を選択し、今国会について調べたのと同じように調べていく。
次回は、参議院HPから、今回と同じようなことをやってみることにする。
※記事へのご意見はこちら