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地域づくりにマーケティング発想を

"着地型観光"が地域を救う(前)
地域づくりにマーケティング発想を
2013年5月 2日 10:53

 以前、北海道弟子屈町の地域振興策の一環として"着地型観光"に触れました。ここで今、地域振興の切り札とも言える"着地型観光"についてお話しておきます。

 着地に対して発地という言葉があります。発地とは、旅行をする人が住む地域で、全国の人口の絶対数から言うとおおむね都市部に住む人がそれ以外の地方に出かけることを言い、旅行会社は都市部に立地し都市部の旅行需要を取り組むべくツアーを組み、既成の観光地に旅行者を送り込むわけです。これが観光旅行の常態であったために"発地型観光"という言い方はあまりされてきませんでした。

 これに対して、着地型観光は、旅行業界では以前から使われていた言葉のようですが、最近では観光地またはこれから観光でまちを売り出そうとする地域が、その地域に直接観光客(旅行者)を呼び込み、自ら旅行・観光プランを立案し、これを楽しんでもらうことによって当該地域の理解を深め、その地域のファンとなり、その後何度も訪れてもらうような仕組みをつくること、と言えましょうか。

 また、着地型観光の特徴は単なる物見遊山型の昔ながらのマスツーリズムではなく、地域外の人に当地を知ってもらうためにさまざまな試みをし、観光客(旅行者)をもてなします。したがって、着地型観光では地域のイベントや特産品などのモノづくりを体験してもらい、これを通して地域の人々と交流を図り、併せて地域の歴史や文化も学習してもらうことになります。このような仕組みですから従来の発地型観光よりも、より深く地域のことを理解してもらえるというメリットがあります。

 しかし、上記の説明のようにこれは、手間ヒマのかかる仕組みです。当然ながら従来のような旅行会社の商品化には乗りにくい仕組みでもあります。
 そこで活躍するのが地域のNPOや地域おこし団体、当該地の観光協会などです。このような非営利組織がボランティアガイドを養成、活用して観光地の活性化、ひいてはまちの活性化につなげようとするのですが、有名なのが"長崎さるく博"でしょう。

nagasakisaruku.jpg 「長崎さるく博'06」は、2006年4月1日から10月29日までの約半年間に行なわれた地方博覧会であり、期間中に1,000万人の参加を得たというからすごいですね。この内容がまさに着地型観光の見本のようで、自由参加型のコース、体験型のコース、ガイド付きのコースと手づくり観光で、またその地元のガイドさんの質が高く、地元の歴史や文化、民俗などへの博識ぶりが話題になったものです。「日本初のまち歩き博覧会」とも言われています。

(つづく)

| (後) ≫

(株)地域マーケティング研究所
100609_yoshida.jpg代表取締役:吉田 潔
所在地:福岡市東区みどりが丘3-2-7
TEL:050-1004-2007
URL:http://www.mrkt.jp/


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