ネットアイビーニュース

NET-IB NEWSネットアイビーニュース

サイト内検索


カテゴリで選ぶ
コンテンツで選ぶ
会社情報

クローズアップ

大学の教育力とは!?(後)
クローズアップ
2013年5月 2日 07:00

<ビジネスの現場で求められる問題解決力>
 今、日本の大学に必要とされている授業は、問題解決力を身に付ける授業だ。キーワードは、「一方通行ではない」ということ。「アメリカでは、講義がインターネットで公開されている。ある大学の教授が"よその大学の授業がおもしろいので、それを見て授業に来い"と学生に指示を出し、授業では、そのよその大学の授業内容について、学生たちが討議をしたりする。アメリカの大学の授業では、学生たちが集まらなくてはできないことをやる」と、友野氏は説明する。古い日本の大学の講義では見られなかった"眠くならない授業"を展開している。知識を前提として、予習し、その予習したことに関して、グループで討議し、課題をチームで解決する。大学にいる時から、問題解決力を磨く。

 日本にも、もちろん、改革が進んでいる大学もある。立教大学経営学部では、企業と提携して、たとえば、「コンビニである商品を、高校生に売るには、どのような商品を出したらいいか」というグループワークを行ない、企画立案力、問題解決力を磨く実践的な授業を学部生の全員のカリキュラムに取り入れている。
 秋田の国際教養大学では、授業をすべて英語で行ない、全寮制で授業外でもしっかりと勉強に取り組み、全員が厳しい条件での留学を経験する。アクティブラーニングを取り入れるために、大学がカリキュラムを再構成・再設計しなければならない。

<討議力が足りない日本>
bns.jpg ただ、グローバルとは言っても、外国語ができるだけではダメ。日本人は、ビジネスの現場で討議力、交渉力が足りないと言われる。密接にコミュニケーションを取り、ビジネスの現場で壁にぶち当たった時に組織が抱える課題を探り、その課題を解決するために何が必要かを見つけ出し、実践していく力、リーダーとしてチームの能力を引き出す能力も問われる。
 「企業に入ったら、チームで働くことになる。社会に出れば多くの組織がそう。文系、理系に関係なく、異分野の人と組んで仕事をやる。異分野の人の発想を理解する能力も必要ですね」と友野氏は語る。
 大学教育の抱える問題点は、そのまま、企業の抱える問題に直結しており、日本人の交渉力、討議力の足りなさが、ビジネスの現場で欧米や決断の早いアジア勢の後塵を拝す要因の一つとなっている。

 日本の最高学府である東京大学はどうであろうか。「東大は、卒業生にアンケートを取り、卒業生たちの『討議力が弱い』ということにすでに気づいて、学生向きの、自ら学んでいくアクティブラーニングを多く取り入れようと手を打っている」(友野氏)。
 大学改革が、日本のマンパワーを向上させることにもつながる。

<大学にいた4年間で何をできるようになったか>
 東南アジアの最前線で戦うあるビジネスマンは、「ある会社が社内で、すべて英語で話すという取り組みを始めたけど、その話を聞いた時、やるべきことはそこではないって思った。本当にやるべきことは、英語じゃない。仕事を生み出すクリエイティブな能力を養っていくべき」と、冗談混じりに話していた。
 今後、日本の大学は、学生たちの交渉力を磨き、仕事を生み出す創造力、イノベーションを起こす力を養っていくことができるかどうか。そこがすべてではないが、大学の変革に、日本の未来がかかっている。

(つづく)
【岩下 正弘】

≪ (中) | 

<プロフィール>
tomono_pr.jpg友野 伸一郎(ともの・しんいちろう)
1953年広島県生まれ。東京外語大学卒業。ジャーナリスト。大学教育に詳しく、著書に「対決!大学の教育力」(朝日新聞出版社)など。06年より河合塾の「教育力調査プロジェクト」に参加し、偏差値だけではない大学選びの指標づくりに取り組んでいる。


※記事へのご意見はこちら

クローズアップ一覧
クローズアップ
2013年5月 2日 13:52
クローズアップ
2013年5月 2日 07:00
クローズアップ
2013年5月 1日 10:35
クローズアップ
2013年4月30日 11:57
クローズアップ
2013年4月22日 19:37
クローズアップ
2013年4月12日 15:14
NET-IB NEWS メールマガジン 登録・解除
純広告用レクタングル

2012年流通特集号
流通メルマガ
純広告VT
純広告VT
純広告VT

IMPACT用レクタングル


MicroAdT用レクタングル