電力業界が激しく動いている。福島第一原発の事故は、従来の価値観を大きく動かした。国内原発事故として最大であり、人類史上でも2番目の大事故から2年が経過し、脱原発、そしてその後のエネルギーを支える新たな枠組みが模索され続けている。
命題は主に3つ。1つは原発の再稼働の是非。2つ目は次代を担う発電方法。3つ目は節電である。今回は、このうちの次代を担う発電方法についてレポートしてみようと思う。
原発の稼働が不透明な今、主要な発電方法として活用されているのは火力だ。火力は発電量の調整などに優位性がある。ただ、近年の原油価格高騰を受けて発電コストが上がってきていること、発電時に二酸化炭素を排出すること、日本国内で原料調達ができないことなどの理由から、それに頼ることに異議を唱える風潮も生まれてきている。
では、原発に戻るかというと、国民の意見としてはそういうことでもないようだ。昨年なされたエネルギーに関する意見聴取会(革新的エネルギー・環境戦略。国家戦略室による)では、過半数が原発ゼロを目指すべきと意見した。
高いお金を払ってエネルギーを他国に依存するか、それとも原発(原子力は準国産エネルギーにカウントされる)に戻すか。そのいずれもNOなのだ。そこで注目されたのが、再生可能エネルギーである。
再生可能エネルギーの旗手として、一歩も二歩もリードしているのは太陽光発電、次いで風力発電となっている。ただ、そのいずれも一般的な認識としては、補助電源としての発電施設だ。太陽光は太陽が昇っていないと発電することはできない。ということは、一日の半分は発電できないことになる。さらに荒天時には発電量が激減する。これは風力でも同じである。風力は昼夜問わず、さらに同一面積当たりの発電量が高く、さらに風況予測技術が進んでいるため、高い将来性を持っているが、いかんせん自然現象相手の技術である。安定的に、定量的に、ということになると、少し厳しい側面もある。
そこで注目したいのが海洋温度差発電である。佐賀大学元学長である上原春男氏の手によって完成した海洋温度差発電は「ウエハラサイクル」と呼ばれ、海洋国を中心に導入が本格化されている。
【柳 茂嘉】
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