<地価高騰中、不動産では中国系躍進>
不動産や鉱山の開発への投資では、日本は大きく出遅れた。北側の国境を接する中国から多額の投資マネーが流入。メコン川沿いや中心部で開発予定の不動産プロジェクトなどにここ最近の中国の影響力の強さが色濃く映る。決断の早い中国系の企業は、ここ4、5年で一気にラオスに投資し、大規模の土地を購入し、ショッピングモールなどの建設を始めている。ビエンチャンの地価は急激に高騰した。
ラオスでは、外国人は土地を買えないが、早くから住んでいた中国人がラオス国籍を取り、中国系ラオス人となり、そこを軸に土地を買ったり、貸したりし、開発を進めていく。それが彼らのやり方。鉱山への投資も日本企業は決断のスピードが遅く、中国や韓国に先を越された。ただ、継続的なショッピングモールの集客など日本の得意とするサービス面でまだまだチャンスがありそうだ。
赤坂綜合事務所東南アジア総本部ラオス代表の飯田氏は、「中国はスピード感があり、上層部にうまく取り入って開発する。マーケットはミャンマー、カンボジアに比べると小さいですが、逆に敵がいないのでビジネスの奔流で勝負できる。日本だと隙間を探さないといけないが、ラオスでは、サービス業などさまざまな分野で未発達なビジネスが多い。日本や中国でどのビジネスが成長したかを考え、その最初の段階をやればいい」と言う。今、ラオスに来れば、幅広い分野で先行者利得がつかめる。GDP成長率も7~8%台の高成長を持続。これが、あと数年は続くと見られている。
<下水道、汚職など課題も残る>
急激に変貌を遂げるビエンチャンだが、変わっていない部分もある。早朝になると、寺院の僧たちが托鉢に出かけ、市民は、お供え物をするために、僧たちが家の前を通るのを待っている。都市化は進んでも、仏教への敬虔な想いは変わっていないようだ。
都市部にしては、野犬が多いのも06年とあまり変わっていない。下水道の整備状況もあまり進んでいない。雨が降ると、ところどころに処理しきれない雨水が路地にあふれる。今後、持続的に経済成長を続けるには、下水道、鉄道、道路などのインフラ整備に課題を残している。ビエンチャン日本人商工会議所の山田健一郎事務局長は、「下水道整備、政治の汚職や国家財政の問題、麻薬対策。これらを放っておくと、数年後に表面化してくる可能性がある。政治的にも変わらないといけない時期に来ているのではないでしょうか」と、ラオスがさらなる一歩を踏み出すための課題を挙げた。
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