＜右手が国際政治であれば、左手は民間経済交流！＞
これからの西安、これからの日中関係
　記者が帰国して、すぐの16日に、河野洋平・日本国際貿易促進協会長（元衆議院議長）が訪中、汪洋副首相と会談。汪副首相は会談のなかで、「経済関係を深めることが日中両国の国民や企業に有利である。どんなことがあっても日中の経済関係を強める」と強調している。
　さらに、汪副首相は、日中韓の自由貿易協定（ＦＴＡ）についても「今まで以上に積極的に取り組む」としている。

　「外交とは喧嘩ではない。右手で殴り合っていても、左手は握手しているということが重要だ」は、よく言われる外交のイロハである。この事は、頭で理解しても実行に移すのはなかなか難しい。しかし、これができないと、国際政治の舞台で世界地図作成に参加することはできない。欧米外交はこの点は実に見事だ。手練手管の"術"を身に着けている。その点、日本外交は余りにも稚拙だ。ただし、これはあくまでも国際政治（右手）の話である。

　政治が停滞している今だからこそ、民間経済（左手）では、地道に日中両国で経済交流を続けることが重要になってくる。"一衣帯水"とは言い古された言葉であるが、現実的に日中貿易輸出入総額は、「尖閣問題」以降減ったとは言え約26兆円だ。これはインドや韓国の国家予算を上回る。

　現地でコーディネイトいただいた日中商務促進会の雋培军氏（永旺（株）董事長・社長＜日本、香港、深圳＞、西安耀能電子科技有限公司董事長＜西安＞）は文字通り香港、中国本土、日本と飛び回っている西安出身の新華僑である。

　その雋氏は次のように熱く語る。「北京、上海、深圳の次は、何と言っても西安です。総合的に、科学技術の実力は中国第３位で、豊富な人的資源（西安交通大学を始め国立、公立だけで50校、65万の学生、私立40校を含めると学生数が100万人を超える）が揃っています。
　従来、内陸でネックだった交通網も新幹線開通を含めて飛躍的に改善、１日交通圏で、10省都（７億人市場）にいくことが可能になりました。鉄道ネットワークでは、西安―鄭州間は１時間30分、北京までは４時間30分、上海までは５時間です。ユーラシア大陸の連絡路として、中国西部最大の都市になっています。
　今後は、昔13王朝の都だった時の様に、西安を中心にネットワークが拡がっていくことも考えられます。中国は「世界の工場」から「世界の市場」になりました。そして、その「世界の市場」は西安から、という認識を持っていただくことで、新しいビジネスチャンスが生まれてきます。
　西安ハイテク産業開発区では、中国で理想の公害のない環境都市も目指しており、まさにそれを実現できるポジションにもあると思います。私は"日中友好"をベースに、地元西安の為に、尽力していくつもりです」。
　確かに、今、そしてこれから、西安がとても面白い。

　記者は今回、視察や交流会を通じて、大企業だけでなく、独自の加工技術などを持っている日本の中小企業が進出できる可能性も感じている。また60歳を過ぎた技術者でも大歓迎らしい。

　60歳を過ぎた技術者が、古都西安で遺跡めぐりをしながら２、３年、自分のすでに持っている技術を活かし、人生に"もう一花"咲かせることも、政治、経済の枠を超えて中々面白いと感じている。西安は、市全体が"天然の歴史博物館"とも言われる様に、至るところに世界遺産級の名所・旧跡があるのだ。

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注：「日中商務促進会」（周鑑心会長、江蘇省江陰市東京代表）
　日中間ビジネス促進の為、在日経験の長い華人、新華僑を中心に、日本の起業家、税理士、弁護士、中国地方政府の関係者等で構成。「在日学者・起業家訪中団」を組織し威海、新疆、長春等を訪問、又訪日「医療検診ツアー」の企画等活発に活動している。

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