<東南アジアの交通の要衝>
5カ国に囲まれた東南アジアの要衝・ラオス。ビジネス面での投資が進めば、さらに経済発展は加速する。しかし、ラオスには港がないのがネックとなっていた。ラオス政府は、その弱点を克服し、海外からの投資を促進するために、ある秘策を打ち出した。ベトナムとの交渉で、ベトナム中部のブンアンに、ラオスの港湾を作るという離れ業が立案され、ベトナム側と合弁会社を設立し、具体的な開発に入っている。
これまで、ラオスで製造したものを海に出すには、タイ回りで輸出するのが一般的で、輸送コスト、時間でロスが大きかった。日本からラオスに荷物を送るにも、バンコク経由で遠回りをするしかなく、不便だったが、ベトナムにあるラオス所有の港が実現すれば、関税、税関での検査、輸送面で格段に利便性が上がる。陸地しかないのがラオスの弱点の1つだったが、そこが解消され、地理的にも、ますます魅力的な投資先となる。
日本は、これまでODAでインフラ整備に貢献してきた。ラオス南部のサワンナケート経済特区にニコンの工場ができるなど、日本からの投資もようやく進み始めた。だが、ビジネス面でのラオス進出はタイ、中国、ベトナム、韓国などに出遅れ、このところ著しく発展しているラオスの上昇気流を日本の国益に取り込むことはできていない。対ラオスへの投資で、日本企業が巻き返すための機は熟している。
ビジネス面で日本に期待することとはどのようなことか。ラオス・計画投資省のソムチット副大臣に聞いた。
――ラオスは、日本の本州ほどの広さで国土は大きいが、ベトナム、タイ、カンボジア、中国、ミャンマーに囲まれ、陸地だけの国。東南アジアの他の国に比べると人口が約650万人と少なく、賃金を安く抑えたい製造業の大企業は、ミャンマー、カンボジアに目を向けている。ラオスの優位点は、水力発電による安定した電力供給と、広大な農地で行なう農業。地理的に東南アジアの真ん中にあるラオスは、エネルギーと食糧で安定しており、今後、東南アジア全体の経済発展のカギを握る。
海、港がないのが、日本からの投資が遅れている原因の1つに挙げられる。
ソムチット副大臣 ラオスは、5カ国に囲まれている交通の要衝だと言えます。地理的に、国と国をつなぐ場所です。中国と接している国境が400キロメートルほどあり、中国への窓口になれます。タイ、ベトナムとは、1,000キロメートルもの国境を接しています。しかし、港がないのはやはり弱点です。今、ベトナムと、ベトナム中部のブンアンに、ラオスの港を作る交渉をしています。現在は、土地を用意しているところです。時期はまだ決まっていませんが、この港ができれば、輸出入が大変便利になります。港湾のインフラ開発に関して、日本にもさらに協力してほしいと思っています。
現在、計画が進んでいるブンアン港は、首都ビエンチャンから約500キロ。サワンナケート経済特区からも近く、実現すれば、進出企業にとって輸送の効率が格段に高まる。ラオスの経済発展のスピードを加速させることにもつながりそうだ。
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