<出馬は"命と引き換え">
「自分が参院選へ出馬するってことは、既得権益に対して不利益なことを言い続けなければならないということ。その覚悟の度合いは、命と引き換え。まだ揺れています」。
3日、東京中央区で行なわれたワールドフォーラムのなかで、俳優の山本太郎氏は、緑の党・長谷川羽衣子共同代表らと対談し、参院選出馬に向けて揺れる心境を吐露した。
昨年12月に出馬した衆院選では、自民党の強力な地盤でもある東京8区で、石原伸晃現環境相を相手に、7万1,028票の得票。自民党を相手に善戦した選挙区として、注目を集め、いくつかの政党から出馬オファーがあったことを明かした。
「衆院戦では、メッセージは伝わるんだと改めて思った。ただ、今の自民バンザイの状況で、参院選を勝てるかというと厳しい。権力者たちと同じ土俵で戦うべきなのか。たかが山本太郎ですから、迷って当然」と、3・11以降、脱原発実現に向けて徹底して戦い続けてきた男は、政治家となって既得権益と対峙する方法を選ぶことに対しては迷いを見せている。
<脱原発実現へ粘り強く>
中東での外交スピーチで安倍晋三首相がトルコ、UAEに日本の原発を輸出することを表明し、「安全」だと発言したことに触れ、「安倍首相が言ってるので本当なんじゃないですか。おそろしいですね(笑)」と笑いを誘った。「原点に立ち返ると、原発をなくしたいと思っている」と山本氏は言う。
脱原発への道を歩いているドイツでは、70年代から市民が立ち上がり、命を削るようなデモを粘り強く続け、原発を推進してきた政治の流れを変えた。事故を起こした日本はどうなのか――。首相官邸前で行なわれているデモも、政権交代後は沈静化し、ピークは去った。
「政治と市民の力の両方がないと変えられない。波はあるだろうけど、新規の人がどれぐらい集まれるか。悔しいけど、草の根しかないのかな。続けることが大事だと思ってやっていく」と、山本氏は活動を粘り強く継続することを語った。
自身の運命を左右するかもしれない参院選までは、残り2カ月。
「僕って、最低限のことしか言ってないんですけど、国会議員から言わせると過激なんですって(笑)。"本気"にならない国会議員の方々のなかに入って戦うのが正解なのか。脱原発、被曝の問題に真剣に向き合わない権力者の方々と肩を並べるべきなのか。戦うことも視野に入っています。ただ、選挙以外の方法もあるのではないかとも思う。どう生きるか、早めに答えを出したい」と近々、出馬か否かの結論を出す。
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