<最大34mの津波、長期浸水で壊滅が懸念される高知県>
南海トラフ巨大地震発生により、最大34.4m(黒潮町)の津波の襲来が予測される高知県。県人口の70%以上の56万人が被災、死者は4万9,000人に上るとされ、最悪の場合、高知県は壊滅する。津波被害は県沿岸部ほぼ全域にわたり、県都である高知市は中心部全域が長期浸水する懸念もある。足摺岬から室戸岬まで約260km。主な被災予想地域を取り上げる。
(参考資料)津波浸水予測図
(1)長期浸水で都市機能マヒ、防ぐ手立てない高知市
まずは高知市。五台山(標高146m)から市内を望んだ写真を見ていただこう。手前の橋辺りまで浦戸湾が入り込んでいる。中央部が海抜0m地帯の下知地区。その奥に高知県庁、高知市役所庁舎など市中心部が広がっているわけだが、そのほとんどが2m以上浸水する。津波高はさほどではないものの、地震による地盤沈降により数カ月に及ぶ長期浸水が予想される。塩分を含んだ水が長期間まちを浸すとどうなるか。地下埋設物は壊滅。都市機能はマヒする。今のところこれを防ぐ手立てはない。
(2)海抜0m地帯で地盤沈下
高知市下知地区にある二葉町。海とは2mに満たない壁で遮られているが、地盤沈下が起こればたやすく越流する。高知市で予測される津波浸水被害のシンボリックな地域だが、今のところそれに見合った対策は打てていない。
逆方向から見るとこんな感じ。奥が五台山。
(3)34m津波が襲う黒潮町
高知県の津波被害のシンボルとなっている黒潮町。写真は白浜海岸付近で、数kmにわたって20m以上の津波高が予測されている。
上の写真奥にある消防署前の看板。「津波てんでんこ」とは「自分の命は自分で守れ」という意の標語。
高台移転計画が進んでいる黒潮町役場。5~10mの浸水が予想されている。
(4)高知県西端にも20m以上の津波が
土佐清水市街地から10kmほど西にある足摺海洋館前の海岸。奥の施設は足摺海底館。シーズンにはキャンプ場客などで賑わう風光明媚な国立公園内にあるが、15~20mの津波が予想される。
(5)逃げ場のない高知龍馬空港
少しわかりづらいが、奥に見えるのが高知龍馬空港(南国市)。海岸近くの堤防上から撮影したもので、海は目と鼻の先だ。空港の浸水予測は2m以上だが、津波到達時間は30分程度の予想で、地震発生後、いかに早く逃げるかが重要になる。ただ、このあたりには自然の高台が皆無。避難場所は空港ターミナル屋上ぐらいしかない。
(6)人工高台で避難場所確保へ
空港から南に下った南国市前浜地区にある津波避難タワー。自然の高台がない場合、人工でつくるしかない。同市では沿岸部に14基建設する計画だ
(7)いかに早く自然高台に逃げられるか
写真は、室戸岬から室戸市内を見たもの。ほぼすべての沿岸部に10m以上の津波が押し寄せる。到達時間は20分程度。山など自然高台が近くに迫っているので、日頃の心がけ次第では助かる命は多いと思われる。なお、この一帯は「世界ジオパーク」に指定されている。
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