<被害想定最大級の静岡県>
「南海トラフ」と接する陸地面積が最も広く、この海溝の開始地点でもある駿河湾沖を持つ静岡県。最悪の揺れと津波が起った場合、死亡数は10万9,000人、津波の高さは最大で30m超(下田市)、浸水面積は150.5 km2、全壊建物31棟9,000棟、直接被害額は19兆円9,000億円と、最大級の被害が想定されている。
予測される浸水地域では、下田市、焼津市、牧之原市、御前崎市、磐田市、浜松市などの被害が目立つ。(津波の浸水分布参照)
しかし、これらの被害想定は原発事故を除いたケースである。最大の問題は、砂丘の上に立地し、「砂上の楼閣」と称される浜岡原発である。南海トラフに近く、東海大地震の中央部分に位置しながら、地盤は軟弱という危険度最悪の原発に対し、さすがの管直人元首相も、東日本大震災約1カ月後に停止要請を出した。
広範囲に渡って浸水することが予想される御前崎市。沿岸部には低い堤防が一帯に広がっている。
南遠大砂丘から続く浜岡砂丘の先に、浜岡原発は立地している。手前には風力発電施設があるが、取材日には風が少なかったのか、まったく動いていなかった。
浜岡原発の沿岸部に見える防波壁。昨年12月には18mの設置工事が完了した。これから22mにかさ上げするという。この地域で予想される津波の高さは19mとなっている。
浜岡原発の入り口。浜岡原発が停止した影響か、原発周辺には廃墟となったホテルやスナックがそのままになっていた。
浜岡原発に隣接する浜岡原子力館。5月5日に開催された「こどもの日イベント」には多くの家族連れが訪れ、防波壁などの津波対策など、再稼働に向けた取組みを地元住民にアピールしていた。
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